医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The feedback dilemma in medical education: insights from medical residents' perspectives (BMC Med Educ 2024)

Shafian S, Ilaghi M, Shahsavani Y, Okhovati M, Soltanizadeh A, Aflatoonian S, Karamoozian A. The feedback dilemma in medical education: insights from medical residents' perspectives. BMC Med Educ. 2024;24:424.

背景:フィードバックは臨床現場における学習プロセスの重要な要素である。本研究の目的は、フィードバックの実施に関するレジデントの見解を探り、臨床研修においてフィードバックを求めることの潜在的な障壁を明らかにすることである。

方法:本横断研究は、17の専門科にわたる180名のレジデントを対象とした。検証済みのResidency Education Feedback Level Evaluation in Clinical Training (REFLECT) toolを用いて、フィードバックに対する態度、フィードバックの質、重要性の認識、フィードバックに対する反応に関するレジデントの視点を評価した。さらに、レジデントがフィードバックを求める行動を阻害する要因についても検討した。

結果:レジデントの大多数がフィードバックに対して肯定的な態度を示した。彼らは、フィードバックが臨床パフォーマンス(77.7%)、専門的行動(67.2%)、学問的モチベーション(56.7%)を向上させ、将来のキャリアにおいてより優れた専門医になること(72.8%)にも影響を与えることに同意した。しかし、この調査では、フィードバックのプロセスに重大な欠陥があることが明らかになった。定期的にフィードバックを受けていると回答したレジデントはわずか25.6%で、フィードバックが適切な時間と場所で一貫して行われ、十分に明確であった、あるいは改善のための実行可能な計画が含まれていたと回答したレジデントは半数以下であった。教員がフィードバックを効果的に行う十分なスキルを持っていることに同意したのは少数派(32.2%)であった。さらに、レジデントの間では、peer-to-peerのフィードバックが主なフィードバック源となっているようであった。否定的なフィードバックは、必要ではあるが、ストレス、恥ずかしさ、屈辱感を引き起こすことが多かった。特筆すべきことに、異なる専門分野間では、フィードバックの認識に有意な差はなかった。フィードバックを求める文化がないことが、臨床現場におけるフィードバックを求める行動の中心的な障壁として浮かびあがった。

結論:共通の期待を確立し、フィードバックを求める文化を促進することは、レジデントの認識と教員によるフィードバックの提供とのギャップを埋める可能性がある。さらに、シニアレジデントやピアレジデントが貴重なフィードバック源としての役割を認識することは、臨床研修におけるより効果的なフィードバックプロセスに貢献し、最終的にレジデントに利益をもたらす。