医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Alienation in the Teaching Hospital: How Physician Non-Greeting Behaviour Impacts Medical Students' Learning and Professional Identity Formation (Perspect Med Educ 2024)

Valestrand EA, Whelan B, Eliassen KER, Schei E. Alienation in the Teaching Hospital: How Physician Non-Greeting Behaviour Impacts Medical Students' Learning and Professional Identity Formation. Perspect Med Educ. 2024;13:239-249.

背景:臨床現場は、学生が自信を持って臨床活動に参加し、そこから学ぶことができるような教育的・情緒的支援を受けることができれば、比類ない学習機会を提供する。もし医師が新入生に挨拶をしなければ、学習者は社会的尊敬と包容のシグナルを奪われることになる。本研究では、医師が挨拶をしないことが、臨床実習における医学生の参加、学習、プロフェッショナル・アイデンティティ形成にどのような影響を与えるかを検討した。

方法:ノルウェーの上級医学生16人が、指導医のあいさつをしない行動について語ったことを、フォーカス・グループ・インタビュー・データのreflexive thematic analysisで分析した。

結果:主なテーマは以下の通りであった: A) 挨拶をしないことに関する記述。アイコンタクト、挨拶、名前の使用、職場での学生の紹介など、ラポールを示す行為で挨拶されないことは、非挨拶として認識され、臨床学習の文脈を問わず発生した。B) 職場の統合への影響。あいさつをしないことは、学生の社会的自信を傷つけ、医師集団との距離を作り、特定の職場活動や特定の診療科を避ける原因となる拒絶として経験された。C) 学習への影響。挨拶をしないことは、回避や消極性を引き起こし、質問したり助けやフィードバックを求めたりすることに消極的になり、医療キャリアへの適性について疑念を抱かせた。

結論:職場に入った途端、上司の医師から無視されたり軽蔑的に扱われたという医学生の証言は、意図しない非人間的な振る舞いが医療文化に根付いていることを示唆している。短いアイコンタクト、うなずき、"こんにちは"、あるいは学生の名前を使うなどの相互作用の儀式は、医学生が臨床で成長し学ぶのに不可欠な感情的サポートを提供することができる。