医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

"A whole lot of uncertainty": A qualitative study exploring clinical medical students' experiences of uncertainty stimuli (Med Educ 2022)

Stephens GC, Sarkar M, Lazarus MD. "A whole lot of uncertainty": A qualitative study exploring clinical medical students' experiences of uncertainty stimuli. Med Educ. 2022 Feb 7. Epub ahead of print.

背景:不確実性耐性(Uncertainty tolerance; UT)は、不確実な刺激に対する個人の反応を示すもので、医師や学生のUTの低さは、バーンアウトなどのネガティブな結果につながるとされている。医学教育におけるUT研究は、その構成要素の測定に焦点が当てられており、医学生がどのように不確実性を経験するかを理解しようとする研究はほとんど行われていない。したがって、教育が学生のUTの発達をどのように形成するかについての知識は不足している。そこで、本研究では、学生のUTを理解するための第一歩として、"臨床学年の医学生は不確実性刺激をどのように経験するのか?"を問うた。

方法:social constructionist approachを用いて、臨床学年の医学生41名を対象に質的調査を実施した。2020年度には、学期中の省察日記(n = 230件)、学期末の半構造化面接(n = 40件)を用いてデータを収集した。データはフレームワーク分析によって分析された。

結果:学生は、不確実性の刺激について、1)教育の不確実性、2)職業上の不確実性、3)臨床上の不確実性、の3つの主要なテーマを記述していた。教育上の不安は、学生が記述した最も主要な刺激であり、学生が何を学ぶ必要があるか、また臨床実習の状況下でどのように学ぶかに関する未知数を表していた。職業上の不確実性は、発展途上の専門家としての学生のあり方や、医師としてのあり方についての質問を含んでいた。臨床上の不確実性は、最も少ない刺激であり、医学的知識の体系が明確な答えを提供できない患者ケアの側面に関するものであった。

結論:本研究の結果は、臨床学習者が幅広い範囲の不確実性を経験していることを示しており、学生の刺激は、より確立された知識とキャリアを持つ臨床医の刺激とは異なる可能性があることを示唆している。本研究は、UTを育成するための教育的介入方法、例えば、学習に不可欠でない不確実性を修正したり、学生の学習段階に関連した臨床的不確実性を意図的に導入するなどの方法を開発するための道を開くものである。