医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Preparing medical students for their educational task as physicians: important, desirable and unexplored territory (BMC Med Educ 2024)

Ter Brugge BP, Fegg LS, Wijnen-Meijer M. Preparing medical students for their educational task as physicians: important, desirable and unexplored territory. BMC Med Educ. 2024;24:391.

背景:医師は日常診療のなかで教育活動を行い、患者や医学生に情報を提供し、知識を伝達するという重要な役割を担っている。そのため、メディカルスクール在学中に教育スキルを向上させる方法に注目することは重要である。ピア・ティーチングは、さまざまな肯定的な学習成果につながる教授法である。本研究の目的は、医師のコア・コンピテンシーとしてのティーチングと、教育スキルを習得する機会としてのピア・ティーチングに関する医学生の視点を調査することである。また、医学生がメディカルスクールで教える役割に対してどの程度準備できているのかを調べることも目的としている。

方法:この横断研究は、オランダの全メディカルスクールの全学年の医学生を対象にオンライン調査によって行われた。合計2666名の医学生が調査に回答した。この調査は、2017年秋に全医学生を対象としたオランダの医学擁護団体(DeGeneeskundestudent)の年次オンライン調査の一部であった。データは記述統計と統計検定(カイ二乗検定と二項検定)で分析した。

結果:その結果、49%の医学生が、教えることは医師の中核的な仕事の一つであると考えていることがわかった。しかし、この教育的役割のためにメディカルスクールから十分な準備がなされていると感じているのは25%に過ぎない。その代わり、メディカルスクール以外の場所で自ら経験を積み、教えるスキルを身につけている学生が多い。回答者の64%が、上級医学生が下級医学生をうまく教育できることに同意している。

結論:メディカルスクールのカリキュラムにピア・ティーチングを導入することは、医学生が将来教職に就くための準備として効果的な教育方法となりうる。メディカルスクールは、医学生の職業生活への準備をより良くするために、教育の質を高め、最良の学習成果が得られるように学習環境を設計することに重点を置くことが重要である。