医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Examining medical students' experience of gender-based discrimination and sexual harassment from clinical teachers at a UK medical school (Med Teach 2024)

Skan O, Tregidgo L, Tizzard J, Westlake I, Joji N. Examining medical students' experience of gender-based discrimination and sexual harassment from clinical teachers at a UK medical school. Med Teach. 2024 Apr 2:1-9. Epub ahead of print.

背景:本研究の目的は、英国のあるメディカルスクールにおいて、医学生に対する臨床教員からのジェンダーに基づく差別(GBD)とセクシュアル・ハラスメント(SH)のprevalenceを定量化し、その性質を明らかにすることである。

方法:医学生を対象とした量的・質的混合調査。量的データについてはカイ二乗分析とロジスティック回帰を行い、質的データについては帰納的なテーマ分析を行った。これらの結果を比較し、共通のパターンを探した。

結果:GBD(χ2=38.61、p<0.0001)とSH(χ2=19.53、p<0.0001)の両方を経験したと報告する確率は、男性よりも女性の方が有意に高かった(OR=10.45(CI 4.84–22.56、p<0.0001))。これらの行動は、内科よりも外科で報告される傾向が強かった(χ2 = 15.06, p < 0.001, χ2 = 5.90, p < 0.05)。加害者は男性が多く、コンサルタントが多かった。GBDやSHへの曝露は、男性に比べて女性の方が専門の選択に影響を与える可能性が有意に高かった(χ2 = 11.17, p < 0.001)。学生たちは、性差別的な言葉のカジュアルな使用、不適切な性的誘いかけ、ジェンダーに基づくマイクロアグレッションが、男女間の教育機会における広範な不一致を生み出していることを指摘した。参加者は、匿名性への懸念、事件の重大性への疑問、染み付いた医療ヒエラルキーが、学生がこれらの事件を報告することを妨げていると報告した。

結論:臨床教師から医学生へのGBDとSHの割合は依然として高く、男子学生よりも女子学生に影響を及ぼしている。本研究は、英国のメディカルスクールにおいて、より公平な教育経験を達成するために改善すべき重要な領域を浮き彫りにした。強固な報告・支援システムを構築することは、これらの行為を根絶するための重要な一歩である。