医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

'Walking together': How relationships shape physicians' clinical reasoning (Med Educ 2024)

Krimmel-Morrison JD, Watsjold BK, Berger GN, Bowen JL, Ilgen JS. 'Walking together': How relationships shape physicians' clinical reasoning. Med Educ. 2024 Mar 25. Epub ahead of print.

背景:臨床推論に関する文献では、医師の思考に重要な影響を与えるものとして文脈を考慮することが多くなってきている。医師と患者との関係、そしてその関係を維持するための継続的な努力は、臨床推論がどのように文脈化されるかに重要な影響を与える。著者らは、医師と患者との関係が臨床推論をどのように形成するかを理解しようとした。

方法:構成主義的グラウンデッド・セオリーに基づいて、著者らはプライマリ・ケア医に対して半構造化面接を行った。参加者に最近の困難な臨床経験を振り返ってもらい、参加者が臨床推論と関連してどのように人間関係に関心を持ち、あるいは人間関係を活用しているかを探るために、質問項目を用いた。定比較を用いて、3人の研究者が記録をコード化し、データをコードと概念的カテゴリーに整理した。研究チームは、これらのコードとカテゴリーから、関心のある現象に関する理論を構築した。

結果:著者らは、さまざまな診療経験を持つ15人のプライマリ・ケア医にインタビューを行い、参加者の臨床推論に中心的な影響を与えるものとして、患者のエージェンシーを特定した。参加者は、3つの方法で患者のエージェンシーに配慮しながら、患者との関係を引き出し、管理していた。第一に、参加者は、文脈に基づく病気の構造によって、診断と管理へのアプローチを個別化することができたと述べた。第二に、参加者は臨床上の問題に対する典型的なアプローチを実行することと、患者との継続的な関係を育むためにそのアプローチを適応させることの緊張関係を管理した。最後に、参加者は患者の介護者との関係に気を配り、これらの人々の貢献が、患者独自の社会的文脈の中で臨床的推論をどのように実行するかに重要な影響を及ぼすと考えた。

結論:臨床推論は、医師が患者や患者の介護者との関係を引き出し、維持しようとする努力によって重要な影響を受ける。このような努力は、専門家としてのケアの基準と患者中心主義への志向との間に緊張関係を生み出す。このような人間関係が医師の臨床推論に及ぼす影響は、トレーニングや臨床実践に重要な意味を持つ。