医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Trust and activation in defining patient-clinician interactions for chronic disease management (Patient Educ Couns 2022)

Venechuk G, Allen LA, Thompson JS, Morris MA, Matlock DD, McIlvennan CK, Dickert NW, Tietbohl C. Trust and activation in defining patient-clinician interactions for chronic disease management. Patient Educ Couns. 2022 Sep 22:S0738-3991(22)00433-5. Epub ahead of print.

背景:患者-医師間の関係の質と患者の活性化はともに患者の健康アウトカムを改善するが、先行研究では主にこれらの要因を個別に検討してきた。我々は、慢性期医療の中心である外来心不全治療において、この2つの要因がどのように患者の行動を形成するかを検討した。

方法:EPIC-HF試験で収集された22の詳細な患者インタビューと32の音声記録された臨床訪問を内容分析で解析した。これは、親RCTに質的な深みを与える二次分析であった。

結果:患者の活性化と患者-医師関係の質について、4つのタイプに分類されることが確認された。サポート型、懐疑型、差別型、非力型の4種類である。タイプは時間や文脈に左右されやすく、1人の患者が1回の診察で複数のタイプに分かれることもあった。患者の活性化と患者-医師関係の効果は双方向的であり、それぞれが他方に影響を及ぼしているように思われた。

結論:患者-医師関係の質と患者の活性化は、臨床的相互作用と疾患管理を形成するうえで支配的である。この相互作用は動的であり、患者は時間、場所、文脈によってタイプを変えることができる。これらの知見は、患者の活性化と高い関係性の質がともに働き、慢性期医療を支える環境を作り出すことを示唆している。また、特定の時期や状況においては、懐疑、尊敬、権限委譲が断続的に有効である可能性もある。