Mahlknecht A, Engl A, Barbieri V, Bachler H, Obwegeser A, Piccoliori G, Wiedermann CJ. Attitudes towards career choice and general practice: a cross-sectional survey of medical students and residents in Tyrol, Austria. BMC Med Educ. 2024;24:294.
背景:世界的にプライマリ・ヘルスケアの労働人口が減少しており、総合診療医が不足している。様々な教育モデルが総合診療への関心を高めることを目的としているが、効果的な介入は限られている。医学部卒業生の総合診療医への関心が低い理由は未だ不明である。
方法:この横断研究では、オーストリアのチロル州における総合診療に対する医学生とレジデントの意識を調査した。オンラインアンケートでは、専門職としての価値観、総合診療に関連する問題、個人的な専門職としての意向、人口統計について取り上げた。データ分析では、カイ二乗検定と多変量ロジスティック回帰を用いて、総合診療への関心の予測因子を探索した。
結果:528名の学生と103名のレジデントを対象とした。確認された主な価値観は、安定した地位、確実な収入、仕事と家庭の調和であった。総合診療は、長期的な患者との関係や患者との接触が重要であると認識されており、学生はレジデントよりも良好な職場環境特性や高い評価を得ていた。総合診療を選択した参加者は少なく(学生:3.2%、研修医:11.7%)、約半数がキャリアの選択肢として検討していた。総合診療を選択しない理由としては、他の専門科への嗜好、総合診療の本質的特徴、仕事量、患者との時間不足、経済的プレッシャー、評判の低さ、研修の質の平凡さなどが挙げられた。総合診療への興味の予測因子としては、自立した意思決定、ワーク・ファミリー・バランスの重要性(学生)、医学部在学中の総合診療でのより良い実践経験(学生およびレジデント)、若年、総合診療は将来有望であると認識している(レジデント)などが挙げられた。両グループとも、医学部および/または総合診療研修では、準備が不十分であると感じていた。総合診療よりも専門医の方が魅力的であることは、内容の境界が明確であること、キャリアの機会が多いこと、収入が高いことと関連していた。
結論:これらの結果から、総合診療の魅力を向上させるための方策は、(i) 実務経験を含む質の高い卒前教育、(ii) 専門職としての自律性、仕事と家庭の調和、雇用の安定性の確保に焦点を当てるべきである。プライマリ・ヘルスケアと公衆衛生サービスを強化するためには、より多くの卒業生がこの必要不可欠な医療分野を目指すよう促す努力が不可欠である。