医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Relationships Between Religious Commitment, Workplace Experiences, and Professional and Psychological Outcomes Among U.S. Muslim Physicians (Acad Med 2024)

Murrar S, Azam L, Baqai B, Davila O, Padela AI. Relationships Between Religious Commitment, Workplace Experiences, and Professional and Psychological Outcomes Among U.S. Muslim Physicians. Acad Med. 2024 Mar 5. Epub ahead of print.

背景:本研究の目的は、米国のイスラム教徒医師における宗教性、職場差別、宗教的配慮、職業的・心理的転帰との関連を検討することである。

方法:2021年、著者らは米国を拠点とする3つのイスラム教徒臨床医団体の医師264名を対象に調査を行った。複数の項目で測定された宗教的コミットメントは、職場差別や融和、離職率、キャリア満足度、職場モチベーション、帰属意識燃え尽き症候群うつ病の予測因子として評価された。二変量回帰モデルを用いて、予測変数と結果変数の有意な関係の可能性を同定した。2変量解析が有意であった予測変数は、各結果について個別の多変量回帰モデルに含めた。

結果:参加者の平均年齢は39.5歳(標準偏差10.03)であった。ほとんどが男性(160/246、65%)、米国生まれ(146/244、60%)、米国で医学部を卒業(190/243、78%)、ひげ・ヒジャブをつけていた(135/235、57%)。参加者はアフリカ系アメリカ人(40/247、16%)、アラブ系(55/247、22%)、南アジア系(82/247、33%)、白人(70/247、28%)であった。多変量モデルにより、宗教的重要性は患者からの差別(オッズ比[OR]=3.78;P = 0.02)およびうつ病(OR = 5.36;P=0.002)と正の相関があり、職場での祈りの収容(OR = 0.20;P=0.001)と負の相関があることが示された。集会的宗教活動への参加は、患者からの差別(OR = 0.64;P=0.006)および離職(OR = 0.63;P=0.02)と負の関連を示し、祈りのための便宜(OR = 1.42;P=0.008)および一般的な宗教的アイデンティティの便宜(OR = 1.47;P=0.01)と正の関連を示した。さらに、参加者の人種および民族性は、これらの結果とさまざまに関連していた。

結論:本研究は、米国のイスラム教徒医師において、宗教的アイデンティティがいかに職場での経験やウェルビーイングに悪影響を及ぼすかを示し、宗教的実践の緩衝的役割を明らかにした。また、宗教的差別を改善し、イスラム教徒医師のための職場適応策を実施することが、アカデミック・メディカル・センターにとって急務であることを浮き彫りにした。