医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Social connections and social identity as a basis for learning and support: Experiences of medical students with minoritised and non-minoritised ethnic identities (Med Educ 2024)

Bull S, Terry R, Rice N, Carrieri D, Tarrant M, Curnow G. Social connections and social identity as a basis for learning and support: Experiences of medical students with minoritised and non-minoritised ethnic identities. Med Educ. 2024 Feb 27. Epub ahead of print.

背景:医学生同士の社会的つながりは、学習と支援の重要な基盤となる。このようなつながりや関連する社会的アイデンティティは、民族性によってパターン化されることがあり、学生はつながりのある人々と学業成績が似ていることが多い。このようなつながりが形成されるメカニズムや、つながりが果たす役割については十分に理解されていない。本研究では、マイノリティ化した民族的アイデンティティを持つ学生に焦点を当てながら、医学生同士がどのようにつながりを持っているのか、またそれが彼らの学業達成度やウェルビーイングに与える潜在的な影響について調査した。

方法:(1) マイノリティと非マイノリティの両方の医学部の1年生と2年生が形成したつながりの数と強さを明らかにするための調査と、(2) どのようにつながりが形成されたのか、それが民族性によって形成されたのか、また学生の学習とウェルビーイングを支えるつながりの役割を理解するための半構造化面接を組み合わせた混合法による研究。

結果:151名の生徒(回答率15.5%)がアンケートに回答した。学生は、学習をサポートする目的で、3~4人の仲間と定期的に連絡を取り合っており、学生の71.9%がこのグループと社会的同一性を感じていると回答した。いずれの指標においても、マイノリティの学生と白人の学生の間に統計的な差は見られなかった(t = 0.1, p = 0.92, χ2 = 2.9, p = 0.56)。19人の学生へのインタビューによると、社会的なつながりは、自己アイデンティティの認識と、適合する他者との関係を形成することによって「均衡」を見出す必要性によって形成されていることがわかった。民族的多様性を含む教育環境は、つながりを作る機会に影響を与えた。民族的にマイノリティである学生は、特に臨床環境において課題に遭遇することを報告し、その負担について述べた。

結論:カリキュラムの設計者は、コース開発時に学生の交流に与えられる時間と空間を考慮すべきである。学生が社会的につながることのできる相性の良い他者を見つけることは、ウェルビーイングと学業成績のバランスをとる上で重要だからである。