医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

How do medical schools influence their students' career choices? A realist evaluation (Med Educ Online 2024)

Thomas A, Kinston R, Yardley S, McKinley RK, Lefroy J. How do medical schools influence their students' career choices? A realist evaluation. Med Educ Online. 2024;29:2320459.

背景:医学部卒業生の進路選択は、英国内外のメディカルスクールによって大きく異なり、一般的に社会のニーズとうまくマッチしていない。研究によると、公式、非公式、隠れたカリキュラムを含むメディカルスクールでの経験が重要な影響を及ぼすことが分かっている。我々は、メディカルスクールにおけるこうした様々な社会的条件が、キャリア思考にどのように、またなぜ影響を与えるのかについて、現実主義的評価を行った。

方法:専門研修に応募する時点の若手医師にインタビューを行った。様々なキャリアの選択肢から合目的的に選んだ。参加者には、医学研修中にキャリアの選択肢を考えた時点と、その考え方がどのような背景から影響を受けたかについて説明してもらった。面接記録は、キャリア決定がどのようになされるかについての初期理論を検証するために、文脈-機序-結果(CMO)の構成についてコード化された。

結果:英国の12のメディカルスクールから合計26名の若手医師が参加した。その結果、メディカルスクール在学中に生じた進路選択への影響を説明する14の反復的なCMO構成をデータから見出した。

結論:キャリアの意思決定に関する初期理論は、以下のように洗練された: キャリアの意思決定には、潜在的なキャリアの適合性をテストするプロセスが含まれる。このプロセスは非対称的であり、キャリアを決定する前に複数の経験が必要である(「イージング・イン」)が、たった一度の否定的な経験で、その選択が否定されることもある。専門性を好むようになることは、人-環境-適合の意思決定理論に合致する。しかし、潜在的なキャリアを除外することは、合理性に基づく意思決定理論が示唆するよりも、あまり熟考されないプロセスである可能性がある。より長く本格的な学部での実習、仕事の割り当てと成功、チームの一員として扱われること、熱心なロールモデルによって、適合性のテストが促進される。非公式なキャリアガイダンスは、公式なものよりも影響力が大きい。メディカルスクールプログラムへの示唆も提案する。