医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Fitting In While Standing Out: Professional Identity Formation, Imposter Syndrome, and Burnout in Early Career Faculty Physicians (Acad Med 2022)

Stelling BEV, Andersen CA, Suarez DA, Nordhues HC, Hafferty FW, Beckman TJ, Sawatsky AP. Fitting In While Standing Out: Professional Identity Formation, Imposter Syndrome, and Burnout in Early Career Faculty Physicians. Acad Med. 2022 Nov 1. Epub ahead of print.

背景:プロフェッショナル・アイデンティティ形成(PIF)は、個人が特定の専門職の中核的価値観や信念を内面化するダイナミックなプロセスである。医学教育では、PIFはメディカルスクールで始まり、研修と実践を通して継続する。PIFは、研修と実習の間の重要な移行期に影響を受ける。本研究は、レジデントから初期キャリア教員医師への移行期におけるPIFの特徴を明らかにし、この移行期におけるPIFバーンアウトの関係を探ることを目的としている。

方法:著者らは、構成主義的grounded theoryを用いた質的研究を行った。メイヨークリニック医学部の初期キャリア教員(5年以下と定義)に対して半構造化面接を行った。インタビュー記録は、オープンコーディングとアキシャルコーディングによって処理された。著者らは、テーマを整理し、テーマ間の関係を特定した。この関係は、議論や新たに収集したデータとの継続的な比較を通じて洗練された。データ分析の際、著者らは自律性、有能性、関連性という概念を持つ自己決定理論 (self-determination theory)を、データの整理と分析を支えるフレームワークとして確認した。

結果:11名の初期キャリア医師がインタビューに参加した。彼らのPIFは、「なじみたい (fit in)」と「目立ちたい (stand out)」という2つの欲求によって特徴づけられていた。これらの欲求を満たすために努力することは、インポスター症候群 (imposter syndrome)によって特徴づけられ、医師は自分の意思決定と全体的な能力に疑問を持つようになった。参加者は、インポスター症候群と学業上のプレッシャーがバーンアウトと関連している。キャリア開発にとって重要な機会を追求するための教育機関による自律的支援が、バーンアウトを緩和し、PIFを支援した。

結論:キャリアが浅い医師は、研修から指導なしの診療に移行する際に、なじもうとする努力と目立とうとする努力など、アイデンティティの問題に直面する。彼らはこの緊張をインポスター症候群に結びつけ、バーンアウトと関連づけた。インポスター症候群の構造的・文化的要因への対処を含む、組織的な認識と支援は、新任の教員が自らのアイデンティティを模索し、新たな課題を乗り越えるために最も重要である。