医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Push and Pull Factors of Why Medical Students Want to Leave Türkiye: A Countrywide Multicenter Study (Teach Learn Med 2023)

Eser E, Cil E, Sen Gundogan NE, et al. Push and Pull Factors of Why Medical Students Want to Leave Türkiye: A Countrywide Multicenter Study. Teach Learn Med. 2023 Aug 2:1-13. Epub ahead of print.

背景:先進国が医師にとって望ましい移住先であり続ける中、他国からの医師移住は増加している。しかし、トルコ人医師が移住を決定する要因はまだ不明である。メディアやトルコの医師の間で広く報道され、多くの議論の対象となっているにもかかわらず、この注目を正当化するデータは不十分である。本研究では、トルコの上級医学生が海外で専門職を目指す傾向とその関連要因を調査することを目的とした。

方法:この横断研究は、2022年にトルコの39の異なるメディカルスクールから集まった9881人の上級医学生を対象とした。参加者の移住の意思決定に加え、海外移住の意思決定に影響を与える可能性のある社会経済的変数だけでなく、トルコと海外における就労、社会環境、ライフスタイル、メディカルスクール教育の不十分さ、個人的な不十分さに関連するプッシュ要因とプル要因を評価した。分析は、少なくとも50%の参加率で行われた。

結果:医学生のうち、70.7%に移住の意向があった。そのうち約6割が海外永住を希望し、61.5%が海外で外国語を学ぶ(54.5%)、関連する試験を受ける(18.9%)などの取り組みを行っていた。研究開発分野で働きたい人は、1.37倍(95%信頼区間:1.22-1.54)移住する可能性が高かった。移住意向に関係するプッシュ因子は「その国の労働条件」(OR:1.89、95%CI:1.56-2.28)であったが、移住傾向の単なるプル因子は「海外の社会環境・ライフスタイル」(OR:1.73、95%CI:1.45-2.06)であった。さらに、メディカルスクールの質の問題も学生の意思決定に大きな影響を与えた(OR:2.20、95%CI:1.83-2.65)。

結論:「確実に」移住を希望する人の割合は他の発展途上国と同レベルであったが、「永続的に」移住を希望する傾向はトルコの方が高かった。医師の移住を防ぐには、国内の労働条件の改善と医学施設の質の向上が不可欠であるようだ。