医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Striking fear into students' hearts: Unforeseen consequences of prescribing education (Med Teach 2024)

Dornan T, Armour D, McCrory R, Kelly M, Speyer F, Gormley G, Maxwell P. Striking fear into students' hearts: Unforeseen consequences of prescribing education. Med Teach. 2024 Feb 1:1-11. Epub ahead of print.

背景:卒前医学教育(UGME)は、学生が資格取得後すぐに安全が重要な仕事(特に処方)を行えるように準備しなければならない。病院は学生を頼りにしているにもかかわらず、医学部卒業生は常に処方する準備が整っていないと感じており、患者に危害を加えることもあると報告している。学生により良い準備をさせる方法を明らかにする研究は、医療の安全を向上させる可能性がある。我々の目的は、最も一般的な処方業務の1つである静脈内輸液療法(IVFT)の準備を、学生がどのように経験したかを探ることであった。

方法:複雑性の仮定が研究の指針であり、解釈学的現象学を指向した質的方法論を用いた。我々の地域で起きた低ナトリウム血症による5人の小児の医原性死亡事件に関する司法審査の結果、体液・電解質バランスに関連する「重要な臨床ガイドラインの実施」に関する学生教育を強化すべきであると勧告されたのである。最終学年の医学生40名からなるopportunity sampleを用い、rich picturesに対して絵を描き、音声で解説を行った。1つは参加者が書き起こした絵に対するコメントで、もう1つは絵そのものを分析する新しいヒューリスティックを用いたものである。その後、2つの分析を1つのテンプレートに調整した。

結果:テーマは4つあった:影響、教育と学習、矛盾、旅としてのカリキュラム。テーマ間の相互関係を探るため、4つのテーマのそれぞれを最もよく例証する絵を選び、それぞれに描かれているカリキュラムの旅を解釈した。これらの解釈は、各参加者の絵、絵についての口頭での説明、およびテンプレート分析の結果を総合したものである。参加者の経験は、IVFTの複雑な状況に影響された。その上に、カリキュラム内の矛盾、重複、ギャップが重なり、余計な複雑さが生じた。その結果、混乱と不安が生じた。

結論:IVFTを処方する準備に5年を費やした後、参加者はIVFTを処方する準備ができていないと感じた。集中講義は、安全な診療のための学生の準備態勢を向上させるという、公言された目標を達成していなかったと結論づけた。マートンの「意図的な社会的行動の予期せぬ結果」に関する代表的な研究は、集中講義が彼らの準備不足を助長した可能性さえ示唆している。