医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The time for patient partnership in medical education has arrived: Critical reflection through autoethnography from a physician turned patient (Med Teach 2024)

Ashdown L, Jones L. The time for patient partnership in medical education has arrived: Critical reflection through autoethnography from a physician turned patient. Med Teach. 2024 Jan 31:1-6. Epub ahead of print.

背景:本論文は、ある日集中治療室で目覚め、患者として複雑な旅に出なければならなくなった医師の経験を探求する。医師から患者になったというユニークな二重レンズの視点から、限定的ではあるが重要な文献を特定し、患者が生活経験から持つ専門性を認識することによって医学教育を進歩させる可能性を分析する。

方法:2年半に及ぶ長期入院中の患者の生活体験から得られたデータを紐解くために、オート・エスノグラフィー研究を実施した。一連の11のシナリオからテーマを抽出した。得られた知見には、患者、医療教育者、研究の視点からの批判的考察が含まれる。データは関連文献と相互参照した。

結果:医師が患者になったときの実際の医療現場での出会いを描いた11のシナリオを批判的に分析した結果、7つのテーマが浮かびあがった。これらの医学教育で軽視されがちなテーマには、経験学習、省察、医療ケアとしてカウントされるもの、脆弱性、患者中心のケア、主体性、患者の専門性などが含まれる。

結論:本研究は、知的知識と経験的知識の違いを浮き彫りにし、患者が持つ専門性を活用するために医学教育に挑戦している。医学教育におけるオート・エスノグラフィーの有用性を実証し、伝統的な医学教育モデルを批判し、知識を構成するものの幅を広げ、医学教育者に患者をカリキュラムの対等なステークホルダーとして積極的に参加させることで、学術的な言説に貢献している。