医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Practicing Confidence: An Autoethnographic Exploration of the First Years as Physicians (Teach Learn Med 2023)

Coret A, Perrella A, Regehr G, Farrell L. Practicing Confidence: An Autoethnographic Exploration of the First Years as Physicians. Teach Learn Med. 2023 Apr 18:1-11. doi: 10.1080/10401334.2023.2200766. Epub ahead of print. PMID: 37071765.

背景:毎年、メディカルスクールを卒業したばかりの新入生が誕生する。このような学習者は、研修トレーニングと監督を通じて、徐々に新しい技術や実践方法に対する自己肯定感を高めていく。しかし、その自信は、どのようにして生まれるのか、どのような基盤の上に成り立っているのかについては、未だ不明である。本研究では、レジデントの最前線での経験から、このような自信の形成について考察することを目的とする。

方法:2人のレジデント(内科、小児科)が、研修の最初の2年間で、自信の芽生えについて73のリアルタイムの物語を記録し、分析協力的なオートエスノグラフィーのアプローチ (analytic collaborative autoethnographic approach)を用いた。スタッフ医師と医学教育研究者の協力のもと、豊かで多面的なインプットを可能にするために、語りの振り返りのテーマ分析を繰り返し実施した。振り返りはテーマ別に分析・コード化され、データ解釈に関する様々な視点は、合意形成のための議論によって交渉された。

結果:共有された個人的なストーリーや経験では、我々自身の旅と自信の育成が紹介されている。このプロセスは、重層的でしばしば非線形なプロセスであると理解するようになった。重要な瞬間には、未知のものに直面したときの恐怖、失敗(現実のものであれ、認識されたものであれ)の恥、日常的で平凡な成功によって得られた勇気のかけら、そして成長および医師としての自覚の出現が含まれる。

結論:本研究を通して、2人のカナダ人レジデントとしての我々は、自信の縦断的な軌跡を、あえて一から記述することにした。我々は「医師」というレッテルを貼られてレジデンシーに入ったものの、臨床能力はまだ未熟なままである。しかし、知識、態度、スキルの面では明らかに異なっている。我々は、自己エスノグラフィーに内在する脆弱性と信憑性を活用し、レジデントにおける自信の獲得とその医療行為への影響についての理解を深めることを目指した。