医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

From helplessness to transformation: An analysis of clinician narratives about the social determinants of health and their implications for training and practice (Med Educ 2023)

Peebles ER, Pack R, Goldszmidt M. From helplessness to transformation: An analysis of clinician narratives about the social determinants of health and their implications for training and practice. Med Educ. 2023 Aug 25. Epub ahead of print.

背景:医学教育カリキュラムでは、研修生が健康の社会的決定要因に対処できるよう準備しようとしているが、患者の生活環境はしばしば医師の手に負えない。医師がこのジレンマにどのように対処しているのかについてはほとんど知られていない。我々は、研修生がこの課題に直面したときの視点を検討し、より良い実践の準備に役立てようとした。

方法:2018年1月から2020年6月までの医師のナラティブを批判的に分析した。インパクトの高い4つの医学雑誌から、合計268の医師が書いた健康の社会的決定要因に関するナラティブをスクリーニングし、47が包含基準を満たし、分析された。

結果:我々は、健康の社会的決定要因に対処するための医師の経験と戦略を記述した4つのストーリーを同定した。Helplessnessのストーリーは、患者をサポートできない時の著者の精神的苦痛の経験を記述していたが、他のストーリーのタイプは、変化をもたらす方法を記述していた。短所と変容のストーリーでは、短所についての気づきが変容につながった。医師と患者の関係のストーリーでは、著者自身と患者の生活におけるその重要性が描かれ、システム・アドボカシーのストーリーでは、壊れたシステムを変えるためのより大きなアドボカシーの必要性が描かれた。

結論:健康の社会的決定要因を教えるための現在のアプローチは、社会的状況を認識し、変化させるという医師の役割に焦点を当てることが多い。しかし、診療の現実は医師がそうすることを容易には許さず、一部の医師にとっては苦痛やバーンアウトにつながるかもしれない。自分自身を向上させ、患者を知ることに投資し、アドボカシーを行うことで、対処し、変化をもたらす方法は他にもある。これらの結果は、現実の診療に対する研修生と医師をよりよくサポートするのに役立つであろう。