医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The impact of emotionally challenging situations on medical students' professional identity formation (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2023)

Lönn A, Weurlander M, Seeberger A, Hult H, Thornberg R, Wernerson A. The impact of emotionally challenging situations on medical students' professional identity formation. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2023 May 15. Epub ahead of print.

背景:ワークベースの学習で患者や医療従事者と接する際、医学生はネガティブな感情を呼び起こすような感情的に困難な状況を経験することが知られている。学生はこれらの感情を管理しなければならない。学生は、患者や医療チームのメンバーとの交流を通じて、プロフェッショナル・アイデンティティ形成を学び、発展させていく。先行研究では、感情的に困難な状況の処理に関わる問題が強調されているが、これらの経験に対応した学習とプロフェッショナル・アイデンティティ形成に関する研究はまれである。本研究では、ワークベースの学習における医学生の感情的に困難な状況の経験と、これらの経験が医学生のプロフェッショナル・アイデンティティの形成に及ぼした影響について検討した。

方法:構成主義的なグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて、ナラティブ・データ(n = 85)の分析を行った。ナラティブは、医学生の教育終了時(10学期)の振り返りエッセイで構成されていた。

結果:分析の結果、ワークベース教育中に感情的に困難な状況に直面したときの学生の主な関心事は、プロフェッショナル・アプローチを達成し維持するための闘いであることがわかった。彼らは、自分の感情を管理するためのさまざまな戦略を報告し、これらの戦略がどのように多様な結果をもたらしたかを報告した。また、その過程で、学生は自分自身の個人的なニーズや欠点についての洞察に到達したことを述べている。このような自己認識の発達とその結果としての自己認識は、プロフェッショナル・アイデンティティを形成する継続的な社会化プロセスの重要な一部であると考えられる。

結論:したがって、感情的に困難な状況を経験することは、ユニークで貴重な機会であり、学生が成長するための触媒であると考えることができる。私たちは、医学教育における感情の影響に注目することは、プロフェッショナル・アイデンティティ形成のプロセスに関する知識への重要な貢献となると考えている。この知識により、教員は学生に対してより効果的で十分なサポートを提供することができ、学生が医師となるまでの道のりを容易にすることができる。