医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Tolerance for Ambiguity: Correlations With Medical and Physical Therapy Student Traits and Experiences Within the Learning Environment (Acad Med 2024)

Dudley-Javoroski S, Cooper CS, Jackson JB, Zorn A, Carter KD, Shields RK. Tolerance for Ambiguity: Correlations With Medical and Physical Therapy Student Traits and Experiences Within the Learning Environment. Acad Med. 2024 Jan 12. Epub ahead of print.

背景:あいまいな状況を脅威の原因と感じる(あいまいさに対する耐性[TFA]が低い)医療専門職の研修生や臨床家は、メンタルヘルス障害や専門職のバーンアウトのリスクが高い。理学療法士は、その主な治療戦略が生物心理社会的なものであるため、かなりの曖昧さに遭遇する可能性が高い。本研究の目的は、医学と理学療法(PT)のTFAが高い学生と低い学生を区別する学習環境における学生の特性と経験を特定し、専門職間の重複と区別の領域を特定することである。

方法:2019-2020年度および2020-2021年度に卒業するPT学生(n = 2,727)および医学生(n = 33,159)の卒業時質問票調査データを学生のTFAスコアに従って並べ替え、TFAが最も高い四分位値と最も低い四分位値の回答者を分析のために残した。Difference-in-differences analysisを用いて潜在的な説明因子の数を減らし、線形回帰モデルに入れられる準単純なサブセットにした。線形回帰モデルから同定された有意な因子すべてにinferential statisticsが適用された。

結果:両職種とも、TFAが高いほど、学習環境(学生と教員の相互作用、教員のプロフェッショナリズム、進路選択への満足度)に対する肯定的な評価が高く、疲労と離脱の経験(学業におけるバーンアウトの2軸)が低く、共感領域であるperspective-takingの得点が高かった。医学生に特有なこととして、TFAが低いことは、共感スコアの低さ、および恵まれない人々と働くことへの関心の低さと関連していた。

結論:両方の職種においても、TFAが高いほど教育経験に対する評価が高く、患者中心の実践や職業的レジリエンスに有利な特性があることが示唆された。医療研修生のTFAを育成するための介入は、社会の複雑なニーズに対応できる人間性豊かな医療専門職に対する需要の高まりに応えるための重要な方法であると考えられる。