医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Health Professionals Organizing for Climate Action: A Novel Community Organizing Fellowship (Acad Med 2024)

Basu G, Stojicic P, Goldman A, Shaffer J, McCormick D. Health Professionals Organizing for Climate Action: A Novel Community Organizing Fellowship. Acad Med. 2024 Jan 17. Epub ahead of print.

背景:気候変動は公衆衛生と健康の公平性の危機である。保健医療専門家は解決策を推進するのに適した立場にあるが、それを達成するのに必要な訓練や自己効力感が不足している可能性がある。

方法:ハーバード・メディカル・スクールの教育病院であるケンブリッジ・ヘルス・アライアンスの健康公平性教育・アドボカシーセンターは、気候変動による健康と健康公平性への影響、およびこれらの影響を緩和するのに役立つコミュニティ・オーガナイジングの実践について、医療専門家に教える斬新な縦断的フェローシップを開発した。このフェローシップコホートには40人のフェローが参加し、12のチームに編成され、2022年1月から6月まで実施された。各チームは気候変動に取り組むプロジェクトを立案し、経験豊富なコミュニティ・オーガナイザーのコーチから指導を受けた。フェローシップが参加者の知識、スキル、態度に与えた影響を、フェローシップ前後のアンケート調査によって評価した。

結果:調査に同意し、両方の調査に回答した参加者40名中38名(95%)の調査が分析された。調査票の項目回答には7段階のリッカート尺度が用いられた。対データに対するMcNemarの検定を用いて、フェローシップ前とフェローシップ後の調査における、項目の記述に同意する(「やや同意する」/「同意する」/「強く同意する」)回答者の割合の変化を評価した。知識、技能、態度を評価する17項目のうち11項目で、統計的に有意な改善が見られた。フェローシップとその効果に関する参加者の見解は、フェローシップ後の調査における追加項目を通じて評価された。ほとんどの回答者は、フェローシップによって気候変動と健康の公平性の関連性についての知識が深まり(32/38, 84.2%)、地域社会の組織化キャンペーンに効果的に参加する準備ができた(37/38, 94.7%)ことに同意した。また、フェローシップ終了までに、12のグループがそれぞれ、気候変動と健康の公平性に関するプロジェクトを立ち上げた。

結論:この斬新なフェローシップは、気候変動対策に関心のある保健専門家にコミュニティ・オーガナイジングを指導するうえで好評であり、効果的であった。フェローシップの長期的な効果を評価するためには、今後の研究が必要である。