医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Sustainable healthcare in medical education: survey of the student perspectives at a UK medical school (BMC Med Educ 2022)

Gupta D, Shantharam L, MacDonald BK. Sustainable healthcare in medical education: survey of the student perspectives at a UK medical school. BMC Med Educ. 2022;22:689.

背景:現在、持続可能な医療のための教育(education for sustainable healthcare; ESH)を医学カリキュラムに取り入れることが、General Medical Councilの要件となっている。これまで、教育者の視点や、どのような持続可能な医療のトピックを教育に取り入れるべきかということに焦点を当てた研究が行われてきた。そこで、このような文献上のギャップから、我々は、現在および将来の医学教育におけるESHの取り入れについて、英国の医学生の視点を調査した。

方法:ロンドン大学の医学部臨床学年生および臨床学年を1年以上修了した後にインターカレーションを行う学生851名にアンケートを配布した。アンケートは、環境への影響、現在の教育、ESHの今後の教育についての項目で構成された無記名式のものであった。

結果:163名の学生がアンケートに回答した。参加者の93%が気候変動は現在の社会における懸念事項であると考えており、持続可能な医療とは何かについて正式に教わったと考える参加者はわずか1.8%であった。このトピックに関する試験問題に自信を持って答えられると強く思う参加者はおらず、同意する参加者もわずか5人(3.1%)であり、89%がもっとESHが必要だと考えていることがわかった。60%が、今後の教育は前臨床期と臨床期の両方で取り入れるべきと考えており、31%の参加者が教育方法としてオンラインモジュールを好んでいた。

結論:本研究は、医学カリキュラムにおいて、現在の持続可能な医療教育が欠如していることを強調した。ESHに対する学生の要望はあるが、誰がESHを促進するのに最適なのか、どのようにESHを提供すべきか、また持続可能な医療の重要性に関して男女の差はあるのか、などの不確実性が残っており、教育のレトリックと行動の間のギャップを埋める必要性を強調している。