医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Influence of the coronavirus disease 2019 pandemic on the post-graduate career paths of medical students: a cross-sectional study (BMC Med Educ 2024)

Nishimura A, Miyoshi T, Otsuka F, Matsukawa A. Influence of the coronavirus disease 2019 pandemic on the post-graduate career paths of medical students: a cross-sectional study. BMC Med Educ. 2024;24:55.

背景:世界保健機関(WHO)は、2020年3月にCOVID-19パンデミックを初めて宣言し、2023年5月に緊急事態の終息を発表した。さらに、COVID-19パンデミックは、医学生を含む世界中の個人に大きな影響を与えた。COVID-19パンデミックはオンライン教育を増加させたが、臨床研修、課外活動、地方間旅行を制限した。そこで本研究では、COVID-19パンデミックが日本の医学部3~6年生の研修病院選択や進路選択に影響を与えたかどうかを検討することを目的とした。

方法:多肢選択式21問と自由記述式1問からなる質問票を作成し、オンライン・プラットフォームを通じて匿名で実施した。調査対象は日本の医学生で、COVID-19パンデミック時の研修病院や進路に関する希望を聴取した。参加者は日本の51の医学部の4年生から6年生である。調査は2022年2月8日から2022年3月20日まで、学生ネットワークを通じて行われた。

結果:全体として、507名の医学生が調査に参加し、各学年の代表は以下の通りであった: 3年生102名(20.1%)、4年生134名(26.4%)、5年生121名(23.9%)、6年生150名(29.6%)。このうち、COVID-19パンデミックが研修病院の選択に影響を与えたと回答した学生は338人(66.6%)であった。その影響の度合いは、大学の地域や学年によって異なっていた。しかし、ほとんどの学生(473人, 93.3%)は、COVID-19パンデミックによって臨床、基礎研究、事務の進路を変更しなかった。臨床志向の学生では、391人(77.2%)が希望する専門分野を変更しなかった。

結論:COVID-19パンデミック医学生の研修病院選択に影響を与えた。多くの学生はパンデミックによって進路選択が変わることはないと考えていたが、今回の結果は、COVID-19患者の治療に最も直接的に関わる専門分野である内科を避けようとする潜在的な無意識の傾向を示している。