医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Assessing social accountability perspectives among Syrian medical students: a cross-sectional study (BMC Med Educ 2023)

Swed S, Alibrahim H, Bohsas H, Nasif MN, Abouainain Y, Jabban YKE, Ali E, Almoshantaf MB, Alnajem RA, Reslan R, Majzoub T, Sawaf B, Hafez W. Assessing social accountability perspectives among Syrian medical students: a cross-sectional study. BMC Med Educ. 2023;23:980.

背景:医学教育における社会的説明責任(Social Accountability:SA)とは、教育、研究、奉仕活動を通して、地域、社会、国家の重要な問題に取り組むことを意味する。資源が乏しい地域では、社会から疎外された地域社会が質の高い医療を受けるための障壁に直面しており、SAの概念はしばしば学生には十分に理解されていない。本研究の目的は、SAの概念と原則に関するシリアの医学生の視点、認識、理解度を調査することである。

方法:この横断的オンライン研究は、ストリームIおよびIIを網羅し、2023年6月1日から7月25日までシリアで実施され、3年生から6年生までの前臨床段階および臨床段階に在籍する医学生を対象に、SAに対する考え方を調査した。質問票には、同意と自己紹介、社会人口統計学的データ、社会的説明責任を評価する12項目のアンケートの3つのパートが含まれていた。データは、Statistical Package for the Social Sciences software version 24(SPSS 24)を用いて分析した。

結果:合計1312名の医学生(女性62.3%対男性37.7%)が分析に参加した。参加者の半数以下(45.7%)が、所属する教育機関が、自分たちが奉仕する地域社会に関する限定的な社会的使命声明を持っていると回答した。しかし、彼らのカリキュラムが、彼らが奉仕する人々のニーズを部分的に反映していると回答したのは、わずか39.6%であった。回答者のわずか7.5%と6.8%が、自校を形成する優れた地域社会のパートナーや利害関係者がおり、カリキュラムを通じて、医療の文脈における異文化や社会状況について大いに学んだと回答した。また、約24.1%の回答者が、所属する教育機関では相当量の地域社会に根ざした学習に従事することを義務付けられていると回答し、37.4%の回答者が、自分たちのクラスは基準となる集団の社会人口統計学的特徴をよく反映していると考えていた。参加者のかなりの部分(44.3%)が、自分の学校はジェネラリストとしての専門性を追求することを勧めてくれなかったと答え、12.7%が、自分の学校は地域社会に良い影響を与えていないと感じていた。参加者のうち、45.8%がある程度のSA状態であり、37.7%が良好なSA状態であった。SA状態と統計的に関連した唯一の社会人口統計学的特徴は、年齢、性別、就学時期であった(p値 < 0.05)。SAを決定する12項目と就学年との関連は、7項目で統計的に有意であった(p値 < 0.05)。しかし、調整ロジスティック回帰では、SA状態の予測と社会人口統計学的因子との間に有意な相関は認められなかった(p値 > 0.05)。

結論:本研究は、シリア人医学生のSAに対する認識に臨床経験と性別が大きく影響していることを強調するものである。このような認識を高めるために、医療機関は研修のさまざまな段階に合わせた支援サービスを提供し、男子学生の関心を引くような取り組みを行うべきである。