医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The Prevalence of Impostor Phenomenon in Medical Students in Slovenia: Effects of Gender, Year of Study, and Clinical Work Experience (Teach Learn Med 2023)

Kolenc Klen K, Opara M, Škrinjar D, Žnidarič M, Kozinc Ž. The Prevalence of Impostor Phenomenon in Medical Students in Slovenia: Effects of Gender, Year of Study, and Clinical Work Experience. Teach Learn Med. 2023 Dec 7:1-10. Epub ahead of print.

背景:インポスター症候群(imposter syndrome; IS)は、専門家として卓越した業績を上げているにもかかわらず、失敗し、無能であることが露呈することへの恐怖に現れる。ISは医師を含む多くの職業で認められている。ISの有病率と危険因子を理解することは、医学生、ひいては将来の医師のウェルビーイングを確保するために極めて重要である。

方法:ISは医学生に多く、女性に多く、在学年数や臨床経験との関連があることが予想された。Clance Impostors Phenomenon Scale(CIPS)を用いて、2023年5月の医学生の回答を収集した。アンケートはスロベニアの国公立医学部にオンラインで配布された。

結果:207名の医学生(女性157名、男性50名、平均年齢23.2±2.6歳)がアンケートに回答した(回答率13.1%)。女性(66.0 ± 13.9)は男性(58.8 ± 15.1)に比べてCIPS得点が高かった(p = 0.005)。年齢(r = 0.05; p = 0.464)と在学年数(r = 0.03; p = 0.653)はCIPSスコアと相関しなかった。また、臨床経験のある学生(63.4±15.2)とない学生(64.7±13.9)の間でもCIPSスコアに差はなかった(p = 0.531)。

結論:本研究の結果から、ISは医学教育のどの段階でも起こりうることが示唆され、その有病率は女性においてやや高い。本研究は、医学生におけるISの理解に貢献するとともに、ISの影響を緩和し、医学生ウェルビーイングと成功を促進するために、環境要因に対処し、支援策を講じることを求めるものである。