O'Brien MT, Bullock JL, Minhas PK, Roman SA, Joshi P, Lupton KL, Hauer KE. From Eggshells to Action: A Qualitative Study of Faculty Experience Responding to Microaggressions Targeting Medical Students. Acad Med. 2023;98(11S):S79-S89.
背景:臨床学習者を標的としたマイクロアグレッション (microaggresion)は、危害をもたらし、学習を脅かす。臨床指導医は、マイクロアグレッションが発生した際に介入することで、強力な味方になることができる。本研究では、臨床学習者を標的としたマイクロアグレッションへの対応について、一般指導医と学生推薦の熟練指導医の見解を調査した。
方法:この単一機関による質的研究では、構成主義的パラダイムを用いて、学習者を標的としたマイクロアグレッションへのバイスタンダー対応に関する指導教員の経験を調査した。2020~2021年に米国で、内科および外科の臨床指導医と、学生から熟練したマイクロアグレッション対応者として指名された科を超えた指導医を招き、半構造化フォーカスグループで学生を標的としたマイクロアグレッションのシナリオについて議論してもらった。研究者らは、テーマを特定するために、テーマ分析のフレームワーク法を適用した。
結果:42名の教員(内科・外科 [一般] 31名、熟練回答者として「学生推薦」11名)が10のフォーカスグループ(「一般」6名、「学生推薦」3名、混合1名)に参加した。学習者を標的としたマイクロアグレッションへの対応経験を特徴づける4つのテーマ:バイスタンダーの目標、気づき、行動、継続的学習。参加者の対応目標は、学習者を守ること、学習を守ること、マイクロアグレッションへの対応スキルを教えることであった。気づきは、過去のマイクロアグレッションの経験や臨床環境への適応に影響された。バイスタンダーの行動は、(1)マイクロアグレッションの種類、(2)個人的な感情的脆弱性、(3)スーパーバイザーの対応に対する学生の好みに関する知識、(4)臨床および教育の背景、から生じていた。参加者が、すべてのマイクロアグレッションを有害なものとみなし、教員の対応に対する学生の好みを理解し、誤りを犯すことを予期し(成長思考)、マイクロアグレッションを謙虚な反省、知的素直さ、教育の機会としてとらえた場合、バイスタンダーの行動はより一般的であった。マイクロアグレッションへの対応には、インフォーマルおよびフォーマルなスキル開発による継続的な学習が必要であった。
結論:臨床学習者を標的としたマイクロアグレッションに対する教員のバイスタンダー対応は、複雑な要因が支配している。教員のバイスタンダー対応を強化するための取り組みとして、学習者との先手を打った話し合いや、心理的安全性、学習、バイスタンダー行動を促進するための知的率直さを用いたスキル構築を取り入れるべきである。これらのスキルをどのようにチームのワークフローに組み込むか、また具体的な対応戦略の成果を評価するかについては、さらなる調査が必要である。