医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Procedural simulation in venipuncture for medical undergraduates and its transfer to the bedside: a cluster randomized study (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2023)

Kodikara K, Seneviratne T, Premaratna R. Procedural simulation in venipuncture for medical undergraduates and its transfer to the bedside: a cluster randomized study. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2023 Oct 25. Epub ahead of print.

背景:シミュレーションは、手技を習得するための効果的な方法として認められている。しかし、シミュレーションにより習得したスキルのトランスレーショナルアウトカムについては、依然として調査が必要である。われわれは、静脈穿刺トレーニングにおいて、ベッドサイドでの学習にskills laboratory trainingでのトレーニングを追加すること(介入群[IG])が、ベッドサイドでの学習のみ(対照群[CG])よりも優れた学習結果をもたらすかどうかを評価するために本研究を計画した。

方法:この前向きクラスターランダム化単盲検試験は、スリランカのケラニヤ大学医学部で行われた。医学部2年生の17クラスターが、IGまたはCGのいずれかにランダムに割り付けられた。IGはskills laboratoryで静脈穿刺のトレーニングを行い、修正ペイトン4段階法の指導を受けた。トレーニング後、IGとCGの学生は1ヵ月間ベッドサイド学習を行った。その後、両群の学生が臨床の場で実際の患者に静脈穿刺を行った。独立した盲検の評価者が、IPPI(Integrated Procedural Protocol Instrument)とチェックリストを用いて学生のパフォーマンスを採点した。患者はコミュニケーション評価ツール(CAT)を用いて学生のパフォーマンスを評価した。

結果:8クラスターと9クラスターがそれぞれ介入群と対照群にランダムに割り付けられた。IGの方が、手技のシングルステップを正確に完了した数が有意に多かった(チェックリスト項目:IG:19.36±3.87, CG:15.57±4.95、p < 0.001)。また、IPPI評価においても、IGの方が有意に良好であった(中央値: IG:27(12)対 CG:21(8);p < 0.001)。患者からの評価では、学生のコミュニケーションスキルは2群間で有意差はなかった。

結論:シミュレーションに基づく静脈穿刺トレーニングにより、学生はベッドサイドで静脈穿刺を学んだ学生よりも高い技術的精度で実際の患者に手技を行うことができた。学生は、skill laboratoryでの静脈穿刺トレーニングで習得したスキルをベッドサイドに移行することができた。