医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Does the clinical experience of a tutor influence how students learn extended focused assessment with sonography for trauma: A randomized controlled trial (Med Teach 2022)

Szalai C, Shehada SE, Iancu S, Herbstreit F, Ruhparwar A, Brenner T, Haddad A. Does the clinical experience of a tutor influence how students learn extended focused assessment with sonography for trauma: A randomized controlled trial. Med Teach. 2022 Oct 18:1-6. Epub ahead of print.

背景:Extended Focused Assessment with Sonography for Trauma (eFAST)は、現在では救急患者の一次検査に欠かせないものとなっている。医学生数の増加と講師の臨床的負担の増大との間の矛盾は、学生教育における大きな課題であり、解決されなければならない。医学生の臨床教育においてピアを利用することは、確立された伝統であり、一般的に行われているが、その実施には定義が不足している。そこで、臨床シナリオのなかでeFASTを使用する学生の学習効果にチューターの経験値が影響するかどうかを調査することを目的とした。

方法:前向きランダム化単盲検比較試験で、8学期の医学生168名を対照群と介入群にランダムに割り付けた。対照群では、様々なレジデントから4時間の標準的な超音波(US)チュートリアルを受けた。すべてのレジデントは、少なくとも超音波診断のステージ1認定医であった。介入群では、訓練を受けたピアティーチャー(TPTs)からチュートリアルを受けた。これらのTPTsは、手技を教える資格を有する医学生であった。すべての学生は、最初に超音波診断の基本原理に関するチュートリアルを受け、最後に病理学的画像の認識に関する講義を受けた。学生は、1日後と学期末に、既存のUS経験、eFASTに基づく理論的および臨床的応用に関する質問をする基本的なアンケートに回答した。また、臨床的緊急事態を想定した6分間のOSCE(Objective-Structured-Clinical-Exam)ステーションを実施した。

結果:参加者の85%はeFASTの経験がなかった。参加者の初期および後期の評価では、理論および臨床応用試験に関して両群間に有意差は見られなかった。ただし、初期段階のOSCEの結果は、後期段階の結果では繰り返されなかった。

結論:ピアティーチングを活用することで、臨床応用力を落とすことなく、eFASTなどの実技を教えることができる。これにより、医師を患者の治療場面から外す負担を軽減し、教育水準を維持することができる。