医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Development of a telehealth obesity OSCE and reliable checklist for assessment of resident physicians: a pilot study (BMC Med Educ 2022)

Cameron NA, Kushner RF. Development of a telehealth obesity OSCE and reliable checklist for assessment of resident physicians: a pilot study. BMC Med Educ. 2022;22:630.

背景:肥満は公衆衛生上の大きな問題であるが、レジデントは肥満関連のケアについて正式なトレーニングや評価をほとんど受けていない。近年の遠隔医療の普及を考えると、医師はバーチャル・プラットフォームを使用してこれらのスキルを適用することをさらに学ばなければならない。そこで我々は、医学教育のための公表された肥満コンピテンシーに基づき、遠隔医療で実施可能な、肥満に焦点を当てた患者中心の病歴聴取のレジデント能力を評価する、信頼できるチェックリストを用いた客観的構造化臨床試験(OSCE)を開発することを目的とした。

方法:医学生の肥満コンピテンシー評価に用いたスクリプトを改変し、レジデントの肥満関連診療をシミュレートする15分間の遠隔医療OSCEを開発した。肥満関連診療における病歴聴取、コミュニケーション、プロフェッショナリズムに関するレジデントのスキルを評価するため、3つのチェックリストを作成した。レジデントの能力は、肥満関連の問診を行った割合、およびコミュニケーションとプロフェッショナリズムの平均点を1~5のスケールで評価した(1が許容できない/不快な行動、5が優れたスキルを表す)。エンカウンターと評価は、2名の委嘱俳優(標準化患者)と26名の内科レジデントが、安全なオンラインプラットフォーム上で行った。各チェックリストの信頼性は、標準化患者間の一致率と、各チェックリスト全体および各チェックリスト項目別のカッパ(κ)統計量を算出することにより評価した。

結果:病歴聴取、コミュニケーション、プロフェッショナリズムの各チェックリストの標準化患者間における総合一致率は、それぞれ83.2%(κ = 0.63),99.5%(κ = 0.72),97.8%(κ = 0.44)となった。また、病歴聴取チェックリストの質問率は平均64.8%、コミュニケーションチェックリストとプロフェッショナリズムチェックリストの得点はそれぞれ5点満点中3.8点と3.9点であった。

結論:本試験の結果から、我々が開発した遠隔医療肥満OSCEとチェックリストは、バーチャル・プラットフォーム上でレジデントの主要な肥満コンピテンシーを評価するうえで、中程度の信頼性があることが示唆された。肥満OSCEやその他の教育的介入を研修カリキュラムに組み込むことは、レジデントが肥満に焦点を当てた病歴聴取を行う能力を向上させるために必要である。