医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Effect of phone call distraction on the performance of medical students in an OSCE (BMC Med Educ 2022)

Toader JF, Kleinert R, Dratsch T, Fettweis L, Jakovljevic N, Graupner M, Zeeh M, Kroll AC, Fuchs HF, Wahba R, Plum P, Bruns CJ, Datta RR. Effect of phone call distraction on the performance of medical students in an OSCE. BMC Med Educ. 2022;22:295.

背景:日常臨床におけるスマートフォンの使用は不可欠であるが、同時に重要な注意散漫要因にもなっているようで、その評価も必要である。この前向き研究の目的は、通常の臨床実習を模擬した客観的構造化臨床試験(OSCE)における、医学生のパフォーマンスレベルに対する注意散漫としての電話の影響を評価することであった。

方法:OSCEの目的は、現実的な環境における医学生の臨床能力を調べることであるため、ケルンの大学病院から募集した100人以上の学生がOSCE IまたはIIのいずれかに参加した。OSCE Iでは静脈内カニュレーションを、OSCE IIでは急性腹症ステーションを模擬した。参加者は、通常のOSCEと電話による妨害があるOSCEステーションの2つの状況下で、それぞれのステーションを実施しなければならなかった。そして、両シミュレーションにおける参加者のパフォーマンスを評価した。

結果:OSCE I では、学生は電話に気を取られなかった場合、静脈内カニュレーションステーションで有意に多くのポイントを獲得した(M = 6.44 vs M = 5.95)。OSCE IIでは、急性腹症ステーションにおいて、学生は、電話に気を取られなかった場合、有意に多くのポイントを獲得した(M=7.59 vs. M=6.84)。OSCE I/IIで両方のステーションを完了した学生のみを比較すると、OSCE IとIIの両方において、電話に気を取られなかった学生は有意に高い点数を獲得した。

結論:今回のデータは、電話による注意散漫が、OSCEステーション中の医学生のパフォーマンスレベルを低下させることを示している。したがって、特に若い医師にとって、気晴らしは最小限にとどめるべきという指標になる。また、気晴らしは臨床において重要な役割を果たすため、医学教育システムの中に取り入れるべきである。