医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The impact of clinical uncertainty in the graduate medical education (GME) learning environment: A mixed-methods study (Med Teach 2022)

Johnson MW, Gheihman G, Thomas H, Schiff G, Olson APJ, Begin AS. The impact of clinical uncertainty in the graduate medical education (GME) learning environment: A mixed-methods study. Med Teach. 2022 Jun 6:1-9. Epub ahead of print.

背景:不確実性 (uncertainty)は医学の世界では普遍的なものである。不確実性への不寛容は、バーンアウト、非効率的なコミュニケーション、認知バイアス、不適切なリソースの使用と関連する研究がある。臨床学習環境において不確実性がどのように現れるかについては、ほとんど知られていない。我々は、レジデントとアテンディングの不確実性の認識と経験を調査することを目的とした。

方法:あるアカデミック・メディカル・センターのレジデントとアテンディングの回診時に、調査、半構造化面接、エスノグラフィーによる観察を含む混合法研究を行った。調査には以下の3つの有効な尺度が含まれていた:Physicians' Reaction to Uncertainty Scale, Maslach Burnout Inventory 2-item, Educational Climate Inventory。

結果:調査対象者のうち、レジデント35/60名(58%)、アテンディング14/21名(67%)がアンケートに回答した。レジデントはアテンディングよりも不確実性による不安が大きく、悪い結果に対する懸念が大きく、不確実性を患者に開示することに消極的であると報告した。レジデントはバーンアウトの症状の増加を報告した(p < 0.05)。学習環境が競争的であると感じることは、不確実性を開示することへの消極性と相関していた(r = -0.44; p < 0.01)。質的なテーマとしては、不確実性の認識と直面、学習環境に対する影響などが挙げられた。観察によると、上級の臨床医は不確実性を認めることに抵抗がないことが明らかになった。

結論:医学教育カリキュラムは、不確実性の認識と認知を促進するように開発されるべきである。特に、アテンディングと上級レジデントが不確実性をよりよく認識することは、臨床学習環境にプラスの影響を与える可能性がある。