医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The Associations Between United States Medical Licensing Examination Performance and Outcomes of Patient Care (Acad Med 2023)

Norcini J, Grabovsky I, Barone MA, Anderson MB, Pandian RS, Mechaber AJ. The Associations Between United States Medical Licensing Examination Performance and Outcomes of Patient Care. Acad Med. 2023 Oct 9. Epub ahead of print.

背景:米国医師免許試験 (USMLE)は、米国で医学を修めた卒業生および国際的に医学を修めた卒業生の免許取得に必要な一連の試験である。患者に安全で効果的な医療を提供しようとする過程においては、これらの試験とケアのアウトカムとの関係を示すことが望ましい。

方法:ペンシルベニア州における3年間(2017年1月1日~2019年12月31日)の心不全、急性心筋梗塞脳卒中、肺炎、慢性閉塞性肺疾患の5つの主診断による入院196,881件を対象とした後ろ向きコホート研究である。これらの入院のアテンディング1,765人は、家庭医または総合内科医を自認していた。USMLE Step 1、Step 2 Clinical Knowledge、Step 3のスコアに基づいて換算されたスコアが利用可能であり、アウトカム指標は院内死亡率と対数在院日数(LOS)であった。研究チームは患者、病院、医師の特徴をコントロールした。

結果:院内死亡率の調整オッズ比は0.94(95%信頼区間[CI] 0.90–0.99;P < 0.02)であった。換算スコアが1標準偏差上昇するごとに、院内死亡のオッズは5.51%低下した。対数LOSについては、調整推定値は0.99(95%CI = 0.98, 0.99;P<0.001)であった。換算スコアが1標準偏差増加するごとに、対数LOSは1.34%減少した。

結論:医療提供者のUSMLE成績の向上は、院内死亡率の低下および患者の対数LOSの短縮と関連していたが、後者の大きさは実用的な意義があるとは考えにくい。これらの知見は、USMLE免許プログラムの妥当性を検討するエビデンスに追加されるものである。