医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Is Resident-Driven Inpatient Care More Expensive? Challenging a Long-Held Assumption (Acad Med 2021)

Weinstein DF, Choi JG, Mercaldo ND, Stump NN, Paras ML, Berube RA, Hur C. Is Resident-Driven Inpatient Care More Expensive? Challenging a Long-Held Assumption. Acad Med. 2021 Jan 25. Epub ahead of print.

背景:連邦政府の支援拡大を求める声と資金削減を求める立法上の脅しが続いている一方で、卒後医学教育 (GME)が教育病院に与える財政的な影響はまだ十分には理解されていない。residentはその他の医療提供者よりも「経済的 (economical)」であることを示唆する研究があるにも関わらず、GMEは高額な投資であると広く信じられている。それに反する証拠が出てきていないにも関わらず、residentが患者ケアのコストを増加させているという思い込みは根強く残っている。そこで本研究では、臨床的アウトカムや、潜在的なコストの違いが資源利用や滞在期間 (LOS)やその他の要素とどのように関連しているのかに注意を払いながら、resident-driven service (RS)とnonresident-covered service (NRS)との間のコストを比較することで、患者ケアコストに対するresidentの影響を検証しようとした。

方法:この前向き研究では、Massachusetts General Hospitalで、2016年7月1日から2017年6月30日にかけて、RSとNRSに入院した内科患者のコストと臨床的アウトカムとを比較した。入院患者の総可変直接費用を、primary outcome measureとした。LOS、30日間の再入院率、診断用放射線科・医薬品・臨床検査室に関連する利用率、およびその他のアウトカム指標も比較した。線形回帰モデルを用いて、対数変換された可変直接費用とサービスの関係を定量化した。

結果:2つのサービス (RS 3250人, NRS 2198人)を利用した合計5448人の患者のベースライン特性は類似していた。RSでは、患者のケアコストはわずかに減少し、LOSはNRSよりもわずかに短く、病院死亡率や30日再入院率には有意差は認められなかった。資源利用率は両サービス間で同等であった。

結論:本研究の知見は、residentが患者ケアのコストを増加させるという長年の過程を覆すものである。外来施設や他の専門分野に一般化することはできないが、本研究は、GMEプログラムのスポンサーシップに関する病院の意思決定、特に連邦政府によるGMEへの資金提供が制限されている、あるいは追加的な削減の対象となっている場合には、情報提供に役立つであろう。