医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Effect of a Workshop to Break the Bias Habit for Internal Medicine Faculty: A Multisite Cluster Randomized Controlled Study (Acad Med 2023)

Carnes M, Sheridan J, Fine E, Lee YG, Filut A. Effect of a Workshop to Break the Bias Habit for Internal Medicine Faculty: A Multisite Cluster Randomized Controlled Study. Acad Med. 2023;98:1211-1219.

背景:文化的ステレオタイプが意図せずして不公平を永続させる可能性があるとの認識から、"implicit bias training"の必要性が叫ばれているが、これらの推奨を支持する強力な証拠はなく、潜在的な有害性を示す証拠もいくつかある。著者らは、医学部教員が暗黙のステレオタイプに基づく偏見を克服し、職場環境の風土を改善するうえで、1回3時間のワークショップの有効性を明らかにすることを目的とした。

方法:多施設クラスターランダム化比較試験(2017年10月~2021年4月)において、診療科内の部門レベルでクラスタリングを行い、調査回答の参加者レベル分析を行い、19の医学科の204部門の8,657名の教員が参加した:介入群4,424人(1,526人がワークショップに参加)、対照群4,233人。ベースライン時(3,764/8,657 = 43.48%の回答率)とワークショップ3ヵ月後(2,962/7,715 = 38.39%の回答率)のオンライン調査により、偏見に対する認識、偏見を減らすための意図的な行動変容、部門風土に対する認識を評価した。

結果:3ヶ月後、介入部門 vs 対照部門の教員は、個人の偏見に対する脆弱性の認識(b = 0.190 [95% CI, 0.031 to 0.349], P = 0.02)、偏見削減の自己効力感(b = 0.097 [95% CI, 0.010 to 0.184], P = 0.03)、偏見削減のための行動(b = 0.113 [95% CI, 0.007 to 0.219], P = 0.04)のより大きな増加を示した。ワークショップは、風土やバーンアウトには影響を与えなかったが、尊敬に値する部門会議に対する認識をわずかに高めた(b = 0.072 [95% CI, 0.0003 to 0.143], P = 0.049)。

結論:ステレオタイプに基づく暗黙のバイアスへの認識を促し、一般的なバイアスの概念を説明してラベル付けし、参加者が実践するためのエビデンスに基づく戦略を提供する1回のワークショップは、弊害がなく、バイアスの習慣を断ち切るために教員に力を与えるうえで大きな利益をもたらす可能性がある。