医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Effect of a Workshop to Break the Bias Habit for Internal Medicine Faculty: A Multisite Cluster Randomized Controlled Study (Acad Med 2023)

Carnes M, Sheridan J, Fine E, Lee YG, Filut A. Effect of a Workshop to Break the Bias Habit for Internal Medicine Faculty: A Multisite Cluster Randomized Controlled Study. Acad Med. 2023 May 23. Epub ahead of print.

背景:文化的なステレオタイプが意図せずして学術医療全体の不公平を永続させる可能性があるとの認識から、"implicit bias training"を推奨する声が高まっているが、これらの推奨を裏付ける強い証拠はなく、潜在的な害を示す証拠もある。著者らは、医学部教員が暗黙のステレオタイプに基づく偏見を克服し、職場環境の風土を改善するうえで、1回3時間のワークショップの有効性を明らかにすることを目的とした。

方法:診療科内の部門レベルでクラスタリングを行い、調査回答の参加者レベル分析を行った多施設クラスターランダム化比較試験(2017年10月~2021年4月)に、医学部19学科の204部門の教員8,657名が参加した:介入群4,424名(1,526名がワークショップに参加)、コントロール群4,233名。ベースライン時(3,764/8,657=43.48%の回答率)とワークショップ3ヵ月後(2,962/7,715=38.39%の回答率)のオンライン調査では、偏見に対する認識、偏見を減らすための意図的行動変化、部門の風土に対する認識について評価した。

結果:3ヶ月後、介入群とコントロール群の教員は、個人の偏見に対する脆弱性の認識(b = 0.190 [95% CI, 0.031 to 0.349], P = .02)、偏見削減自己効力(b = 0.097 [95% CI, 0.010 to 0.184], P = .03)、偏見削減行動の実行(b = 0.113 [95% CI, 0.007 to 0.219], P = .04)がより高くなった。ワークショップは、風土やバーンアウトには影響を与えなかったが、respectfulな部門会議に対する認識をわずかに高めた(b = 0.072 [95% CI, 0.0003 to 0.143], P = 0.049)。

結論:本研究の結果は、学術医療センターの教員に対するプロダイバーシティ介入を設計する人々に、ステレオタイプに基づく暗黙の偏見への認識を促進し、一般的な偏見の概念を説明しラベル付けし、参加者が実践するためのエビデンスに基づく戦略を提供する単一のワークショップには害がなく、偏見の習慣を破るために教員の力を与える大きな利益がある可能性がある、という確信を与えるべきである。