医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Personalisation and embodiment in e-Learning for health professionals: A randomised controlled trial (Med Educ 2023)

Skrupky LP, Stevens RW, Virk A, Tande AJ, Oyen LJ, Cook DA. Personalisation and embodiment in e-Learning for health professionals: A randomised controlled trial. Med Educ. 2023 Sep 1. Epub ahead of print.

背景:メイヤーのマルチメディア学習理論は、personalisation and embodiment (P/E)がeラーニングの成果を向上させることを提唱している。著者らは、P/Eの原則によって強化されたeラーニングモジュールは、強化されていないモジュールと比較して、医療従事者の知識、知覚されたP/E、モチベーションを高めるという仮説を立てた。

方法:著者らは、肺炎の抗菌薬管理を取り上げた30分のマルチメディアe-Learningモジュールの2つのバージョンを比較するランダム化試験を実施した。非強化版では、スライドにナレーション(人の声だがスピーカーは見えない)を入れ、フォーマルな表現を用い、特定のP/E戦略は用いなかった。強化されたフォーマットでは、スクリプトを微妙に変更し、主題の専門家の短いビデオをいくつか代用することで、会話スタイル、丁寧な言葉遣い、目に見える著者、社会的一致、人間的存在感、専門家としての存在感などのP/E戦略が追加的に実施された。参加者は、3つの大学病院といくつかの地域病院の薬剤師、医師、上級医療従事者であった。成果は、知識、知覚的P/E(Congruence Personalisation Questionnaire, CPQで評価)、モチベーション(Instructional Materials Motivation Survey [IMMS] およびMotivated Strategies for Learning Questionnaire [MSLQ]で評価)、コース満足度などであった。

結果:参加者は406名で、薬剤師225名、医師109名、上級医療従事者72名であった。モジュール終了後の知識は、強化された形式でわずかに高かったが、その差は統計的有意差には達しなかった(adjusted mean difference、0.04/10、[95%CI -0.26, 0.34]、p = 0.78、Cohen d 0.02)。P/Eに関する参加者の認識(CPQで測定)、eラーニングコースの動機づけの特徴(IMMSで測定)は、強化されたフォーマットで有意に大きかった(差は5段階中0.46 [0.35, 0.56], p < 0.001; Cohen d 0.85)(差は5段階中0.14 [0.02, 0.26], p = 0.02; Cohen d 0.24)。参加者の全体的なモチベーション(MSLQで測定)とコース満足度は、2つのフォーマット間で有意差はなかった(p > 0.05)。

結論:P/Eの原則をeラーニングモジュールに適用することで、知覚されるP/Eとモチベーションの特徴が大きくなったが、知識には影響しなかった。