医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Pathways to performance in undergraduate medical students: role of conscientiousness and the perceived educational environment (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2021)

Schrempft S, Piumatti G, Gerbase MW, Baroffio A. Pathways to performance in undergraduate medical students: role of conscientiousness and the perceived educational environment. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2021 Jul 22. Epub ahead of print.

背景:本研究では、誠実性 (conscientiousness)と知覚された教育環境 (perceived educational environment)を、Biggsの学習理論モデルにおける、医学生の成績の独立予測因子および相互予測因子として検討した。

方法:スイスのジュネーブ大学に在籍する268名の医学生を対象に、3年生の初めに誠実性、知覚された教育環境、および学習方法を評価した。また、3年次の終わりには、成績を、コンピュータベースの評価(CBA)と客観的構造化臨床試験(OSCE)によって調べた。提案されたモデルを検証するために、パス解析が用いられた。誠実性と認識された教育環境が、学生の学習アプローチを介して直接的および間接的に成績を予測するというものである。また、相互作用効果を考慮した第2のモデルも作成した。

結果:提案されたモデルが最も適合度が高く、CBAの成績の分散の45%、OSCEの成績の分散の23%を説明した。誠実性は、CBAの成績を直接的に(β = 0.19, p < 0.001)、深層学習アプローチを介して間接的に(β = 0.05, p = 0.012)、それぞれ正に予測した。知覚された教育環境は、CBAのパフォーマンスを間接的にのみ正に予測した(β = 0.02, p = 0.011)。誠実性と教育環境の両方ともOSCEの成績を予測しなかった。モデル2は、許容範囲内ではあるが、最適な適合性ではなかった。このモデルでは、有意なクロスオーバー相互作用効果(β = 0.16, p < 0.01)が見られた。つまり、教育環境の知覚が最も肯定的な場合には誠実性がOSCEの成績を正に予測し、最も肯定的でない場合には負に予測したのである。

結論:この結果は、誠実性と教育環境の認識の両方がCBAの成績を予測することを示唆している。OSCEの成績向上を目的とした戦略に役立てるためには、性格特性とメディカルスクール環境の間の相互作用をさらに調査する必要がある。