医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Trainee selection of tasks in postgraduate medical education: Is there a role for 'cherry-picking' to optimise learning? (Med Educ 2023)

Blissett S, Mensour E, Shaw JM, Martin L, Gauthier S, de Bruin A, Siu S, Sibbald M. Trainee selection of tasks in postgraduate medical education: Is there a role for 'cherry-picking' to optimise learning? Med Educ. 2023 Jul 31. Epub ahead of print.

背景:卒後研修生がzone of proximal development (ZPD)で臨床的な課題に取り組むとき、学習は最適化される。しかし、職場の学習環境では、学習以外の目標や課題が追加されるため、研修生は自分のZPDに該当しない課題に取り組む可能性がある。職場の学習環境において、研修生がどのように臨床課題を選択するのか、私たちは十分に理解していない。もし研修生が課題を選択する際にどのような目標と要因を考慮するかが分かれば、学習効果を最大化するような課題を選択するための戦略を研修生に提供することができるだろう。我々は、心エコー図読影をモデルとして、卒後研修生が臨床課題をどのように選択しているかを調査した。

方法:カナダの一般循環器科レジデントと心エコー図検査フェローを対象に半構造化面接を行った。理論に基づいた研究に沿って、2人の独立した研究者が演繹的、指示内容分析アプローチを用いてコードとテーマを特定した。

結果:カナダの7大学から11名の研修生が参加した(PGY4=4名、PGY5=3名、PGY6=1名、心エコー図検査フェロー=3名)。目標は、学習内容、評価基準の達成、臨床への貢献などであった。研修生は1日を通して目標を切り替えていたが、これは常にZPDの範囲内のタスクに従事することは研修生にとって労力がかかりすぎるためであった。研修生は十分な精神的努力が可能な場合、学習内容を進めることができる複雑性の高い課題を選択した。利用可能な精神的労力が少ない場合、研修生は、数値に基づく評価目標を達成するため、あるいは臨床的要求に貢献するために、複雑度の低い課題を選択した。また、心エコー図の複雑さを認識することが、目標達成のための課題選択の要因となっていた。

結論:卒後研修生は、十分な精神的努力が可能であり、職場の環境が適切であると認識した場合、ZPDの範囲内で最大限の学習が可能な課題を選択する。これらの知見は、課題を選択する際に学習を最大化するための個人的および組織的な戦略に役立つ。