医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Why Are There So Few Women Medical School Deans? Debunking the Myth That Shorter Tenures Drive Disparities (Acad Med 2023)

Gottlieb AS, Roy B, Herrin J, Holaday LW, Weiss J, Salazar MC, Okoli N, Nagarkatti N, Otridge J, Pomeroy C. Why Are There So Few Women Medical School Deans? Debunking the Myth That Shorter Tenures Drive Disparities. Acad Med. 2023 Jul 6. Epub ahead of print.

背景:学術医療における男女格差は顕著であり、かつ根強い。メディカルスクールの学部長の役割は、特に男女の多様性とは無縁であり、限られた先行研究では、女性の学部長在任期間の短さがその潜在的な要因であることが確認されている。著者らは、この所見を明らかにするために、現在の時代における学部長の在職期間の男女差を評価した。

方法:2020年10月から2021年6月にかけて、著者らは2006年1月1日から2020年6月30日までに就任した医学部長職に関する情報を収集した。すべての学校は米国医科大学協会(AAMC)に加盟していた。著者らは、オンライン上の公的記録からデータを収集し、メディカルスクールへの直接の働きかけによって調査結果を補強した。初任のinterim vs permanene status、学校の所有形態(公立/私立)、学校の規模を調整する前と調整後のtime to event analysisを用いて、研究期間中の学部長在任期間の男女差を評価した。分析単位は学部長で、主要アウトカムは学部長在任期間(年)とした。

結果:528人の学部長職のデータが含まれた。そのうち女性は91名(17%)であった。permanentの大半は男性であった(n = 352 [85%])。女性は男性(n = 85 [20%])と比較して、interim(n = 27 [30%])の割合が高かった。調整前および調整後の分析では、学部長職の在任期間に有意な男女差は見られなかった。

結論:2006年から2020年までのAAMC加盟校の医学部長の任命を分析した結果、女性は男性と同程度長く学部長職にとどまっていることが明らかになった。女性学部長の寿命が短いという神話は、もはや流布されるべきではない。医学部は、ビジネスや法曹界で用いられている男女比例の原則を採用することを含め、学部長職に占める女性の割合の低さに対処するための斬新な解決策を検討すべきである。