Hu A, MacDonald G, Jain NR, Nimmon L. Exploring the Impact and Consequences of Incidents of Mistreatment of Medical Students by Patients. Acad Med. 2023 Jun 21. Epub ahead of print.
背景:患者による医学生への不当な扱い (mistreatment)は、文献において質的に検討されていない。著者らは、医学生が患者から不当な扱いを受けた経験の影響と結果について豊かな理解を深めることを目的とした。
方法:この探索的記述的質的研究は、2020年4月から11月にかけてカナダの大規模なメディカルスクールで実施された。14名の医学生を募り、半構造化面接を行った。学生には、患者から不当な扱いを受けた経験と、その経験に対してどのように対応したかを尋ねた。記録は帰納的アプローチを用いてテーマ分析され、著者はデータの概念的解釈に批判理論 (critical theory)を織り交ぜた。
結果:14名の医学生(年齢中央値=25.5;10名、71.4%が自己申告男性;12名、85.7%がvisible minorityと自認)が本研究に参加した。12名(85.7%)の参加者が個人的に患者からの不当な扱いを経験し、2名(14.3%)が他の学習者の不当な扱いを目撃したことがあった。医学生は、性別や人種・民族に基づく患者からの不当な扱いについて述べた。参加者全員が、不当な扱いを報告するための教育機関の公式な仕組みを知っていたが、公式な報告書を提出した者はいなかった。参加者のなかには、患者からの不当な扱いに対処するために、フォーマル(教員やレジデント)およびインフォーマル(家族や友人)の社会的支援に頼っていると述べた者もいた。参加者は、自分に対して不当な扱いをした患者を恨み、避け、差別的な患者への共感、開放性、全体的な倫理的関わりを維持するのに苦労していると述べた。学生はしばしば、患者による不当な扱いの経験に対してストイックになる必要性を述べており、不当な扱いに関連する否定的感情を克服し、抑制することが「職業上の義務 (professional duty)」であると捉えていた。
結論:メディカルスクールは、患者による不当な扱いを経験した医学生を支援するための多面的なメカニズムを積極的に開発しなければならない。今後の研究により、この隠れたカリキュラムの軽視された側面をさらに明らかにし、反レイシズム、反性差別、患者ケア、学習者ケアにコミットした、不当な扱いのインシデントへの対応をよりよく発展させることができる。