医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Early vs Single Match in the Transition to Residency: Analysis Using NRMP Data From 2014 to 2021 (J Grad Med Educ 2023)

Ashlagi I, Love E, Reminick JI, Roth AE. Early vs Single Match in the Transition to Residency: Analysis Using NRMP Data From 2014 to 2021. J Grad Med Educ. 2023;15:219-227.

背景:産婦人科(OB/GYN)では、レジデンシーへの移行における課題に対処するために、早期結果受け入れプログラム(Early Result Acceptance Program; ERAP)が提案されている。しかし、ERAPがレジデンシー移行に与える影響について、データに基づいて分析されたものはない。全米レジデントマッチングプログラム(National Resident Matching Program ; NRMP)のデータを用いて、ERAPの結果をシミュレーションし、歴史的にマッチで発生したものと比較した。

方法:2014年から2021年までの非識別化された志願者とプログラムの順位リストを用いて、産婦人科におけるERAPの結果をシミュレーションし、実際のNRMP Matchの結果と比較した。結果と感度分析を報告し、考えられる行動適応を考察する。

結果:ERAPでは14%の申請者がより優先度の低いマッチを受ける一方、より優先度の高いマッチを受ける申請者はわずか8%である。優先順位の低いマッチングは、米国のMDシニアに比べて、DOと国際的な医学部卒業生(IMG)に不釣り合いな影響を与える。41%のプログラムが、より優先順位の高い志願者で満たされ、24%がより低い志願者で満たされている。12%の志願者と52%のプログラムが、相互に不満のある志願者とプログラムのペア(それぞれが受けたマッチングよりも、お互いが相手を好むペア)である。より好ましくないマッチングを受けた応募者の70%は、相互に不満のあるペアに属している。より好ましい結果が得られるプログラムの75%では、少なくとも1人の申請者が相互に不満のあるペアの一員となっている。

結論:このシミュレーションでは、ERAPはほとんどのOB/GYNポジションを埋めるが、多くの応募者とプログラムがより好ましくないマッチングを受け、DOsとIMGsの格差が拡大する。ERAPは、相互に不満のある申請者とプログラムのペアや、混合スペシャリティのカップルの問題を引き起こし、ゲームマンシップの誘因となる。