医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Moderators uncertainty tolerance (UT) in healthcare: a systematic review (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2023)

Yap A, Johanesen P, Walsh C. Moderators uncertainty tolerance (UT) in healthcare: a systematic review. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2023 Apr 25. Epub ahead of print.

背景:不確実性耐性(UT)は、医療に不可欠なものである。医療従事者の医療上の不確実性への対応は、医療システム、医療従事者、患者に影響を及ぼす。医療従事者のUTを理解することは、患者ケアの成果を向上させるために重要である。医療上の不確実性に対する個人の認識や反応を調節することが可能かどうか、またどの程度可能かを理解することは、トレーニングや教育への支援のメカニズムに洞察を与えることができる。本レビューの目的は、医療UTのモデレーターの特徴をさらに明らかにし、医療従事者が経験する不確実性の認識と反応に対するモデレーターの影響力を探ることであった。

方法:医療従事者へのUTの影響に焦点を当てた17の論文について、質的一次文献のフレームワーク分析を行った。

結果:医療従事者の個人的属性、患者由来の不確実性、医療制度に関連するモデレーターの3つのドメインが特定され、特徴づけられた。これらの領域は、さらにテーマとサブテーマに分類された。

結論:その結果、これらのモデレーターは、医療の不確実性に対する認識と反応に、肯定的、否定的、不確実的な範囲に渡って影響を与えることが示唆された。このように、UTは医療環境における状態ベースの構成要素であり、文脈的に決定される可能性がある。我々の発見は、不確実性耐性の統合モデル(IMUT)(Hillen Social Science and Medicine 180, 62-75, 2017)をさらに特徴付け、不確実性に対する認知、感情、行動反応に対するモデレーターとその影響力の関係を示す証拠を提供する。これらの知見は、UT構成要素の複雑な性質を理解するための基盤を提供し、理論開発に加え、ヘルスケア分野のトレーニングや教育への適切な支援を探る今後の研究への土台となるものである。