医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

'What you suggest is not what I expected': How pre-consultation expectations affect shared decision-making in patients with low back pain (Patient Educ Couns 2022)

Kee K, Gerrits RG, de Meij N, Boonen LHHM, Willems P. 'What you suggest is not what I expected': How pre-consultation expectations affect shared decision-making in patients with low back pain. Patient Educ Couns. 2022 Oct 8:S0738-3991(22)00444-X. Epub ahead of print.

背景:共有意思決定(shared decision-making; SDM)に関する既存研究では、患者が医療従事者との診察前に独自に抱く期待を考慮した研究はほとんどなく、そのような期待がSDMにどのような影響を与えるかを検討した研究もない。そこで、腰痛患者において、診察前の期待がSDMにどのような影響を与えるかを検討する。

方法:オランダの外来クリニックにおいて、患者10名と医療従事者7名(医師、看護師、医師助手)への電話インタビューと、患者-医師間の診察の対面観察63件を行い、質的研究を実施した。記録はオープン・コーディングにより分析された。

結果:患者が期待することと、医療従事者が提供できることの間に不一致が存在した。専門家は、SDMを試みる際に、患者の「非現実的な」期待に応えるためにさらなる努力をしなければならないことを認識していた。一方、患者は、自分自身の期待が最終的な決定に反映されていないと考え、SDMの出会いの結果に不満を持つことが多かった。

結論:診察前の期待に対処できないことは、建設的なSDMの出会いの障壁となる。患者の診察前の期待は、SDMの場で検討される必要がある。医療従事者と患者が真に共有できる意思決定を実現するために、患者の診察前の期待をSDMのモデルや教育にもっと取り入れるべきである。