医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Facilitators and barriers to implementing shared decision making: A cross-sectional study of physicians in Japan (Patient Educ Couns 2022)

Koyama T, Nawa N, Itsui Y, Okada E, Fujiwara T. Facilitators and barriers to implementing shared decision making: A cross-sectional study of physicians in Japan. Patient Educ Couns. 2022:S0738-3991(22)00042-8. Epub ahead of print.

背景:共有意思決定(Shared Decision Making, SDM)は、患者と医療者が共同で医療上の意思決定を行うプロセスである。この横断的研究は、日本におけるSDMの実施に関する自己申告の促進要因と障壁を明らかにし、病院の種類による効果の修飾があるかどうかを調べることを目的とした。

方法:日本の医師129名を対象に、SDM-Q-Docに基づくSDMの認識と、統合行動モデル(integrated behavioral model; IBM)の各構成に対応する促進因子と障壁を問う質問票に回答してもらった。促進因子および障壁とSDM-Q-docスコアとの関連は線形回帰分析を用いて評価された。また、病院の種類による層別分析も行った。

結果:SDM-Q-Docのスコアと促進要因、障壁との関連を線形回帰分析で検討した。有意な障壁は、医師の好ましくない態度、自己効力感の欠如、知識、顕著性、経験だった。また、大学病院勤務の医師は市中病院勤務の医師と比較して、経験的態度(患者の特性に関するもの)、接続規範(患者の嗜好に関するもの)、医師の習慣が有意な促進因子であった。

結論:日本における SDM 導入の促進要因と障壁が明らかとなった。SDM に関する研修の機会を増やし、知識と技術を提供することで、SDM の意義を高め、習慣的な実践に貢献することが必要である。