医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Factors associated with professional identity formation within psychiatry residency training: A longitudinal study (Perspect Med Educ 2021)

Chew QH, Steinert Y, Sim K. Factors associated with professional identity formation within psychiatry residency training: A longitudinal study. Perspect Med Educ. 2021 Jul 7. Epub ahead of print.

背景:プロフェッショナル・アイデンティティ (PI)形成の概念的枠組みでは、学習者が正統的周辺から完全な参加へと進歩する際の発達段階と社会化の重要性が強調されている。著者らは、既存の文献や臨床上の印象に基づいて、精神科レジデントのPI形成に関連する因子を経時的に探索することを目的とし、研修期間、seniority status、および研修前に精神科に接していた期間がPI形成に関連するという仮説を立てた。

方法:シンガポールのNational Psychiatry Residency Programから96名の精神科レジデントのうち80名(回答率83.3%)が参加し、2016年1月~2019年12月の4つの時点でProfessional Self Identity Questionnaire (PSIQ)を用いてPIの形成を評価した。レジデントは、ジュニア(最初の3年間)またはシニアレジデント(4~5年目)に分類した。線形混合モデル解析 (linear mixed model analyses)を行い、研修期間、seniority status(ジュニアレジデント vs シニアレジデント)、研修前に精神科に接していた期間、およびそれらの相互作用を、時間経過に伴うPIの関連因子とした。

結果:研修期間、seniority、および研修前に精神科に接していた期間(いずれもp<0.01)は、ベースライン時のPSIQスコアの上昇と有意に関連していた。時間の経過とともに、すべてのレジデントがPSIQスコアを上昇させたが、その変化率はジュニアとシニアの間で有意な差はなかった。

結論:レジデント前の精神科ポストへの露出、学習時間、seniorityは、レジデントのPI形成に影響を与える要因である。このことは、精神科レジデントの選択と研修、研修ローテーションでの十分な臨床経験、そしてPI形成を長期的に育むためのジュニアレジデントとシニアレジデントへの継続的な支援に影響を与えると考えられる。