Driever EM, Tolhuizen IM, Duvivier RJ, Stiggelbout AM, Brand PLP. Why do medical residents prefer paternalistic decision making? An interview study. BMC Med Educ. 2022;22:155.
背景:共有意思決定は、患者団体、研究者、医療関係者から患者ケアに望ましいモデルとして支持されているが、日常診療への応用はまだ限定的である。我々は以前、レジデントは指導医よりもpaternalisticな意思決定を好むことが多いことを示した。医療面接における意思決定プロセスに関するレジデントの見解と「パターナリズムの好み (paternalism preference)」の理由の両方が不明であるため、本研究では、医療面接における意思決定プロセスに関するレジデントの見解とそれに影響を与える要因について検討した。
方法:2019~2020年にオランダの大規模教育病院で様々な専門科のレジデント12名にインタビューを行い、患者がどのように意思決定に関与しているかを探った。参加したすべてのレジデントが書面によるインフォームド・コンセントを提供した。データ分析は、必要と判断された場合にインタビュートピックガイドの適応を知らせる反復プロセスで、データ収集と同時に行われた。テーマを設定するために、constant comparative analysisを行った。データ収集は、情報量が十分となった時点で終了した。
結果:参加者は、選択肢の議論や意思決定への患者の積極的な関与が、状況的要因(患者の特性、利用可能な時間などのロジスティックな要因、上司の推奨)および医療や共有意思決定の知識の限界にどのように影響されるかを説明した。レジデントの意思決定行動は、正しい診断に到達し、エビデンスに基づく最善の治療を提供する責任があるという信念に強く影響されているようであった。レジデントたちは、共有意思決定とは、医師が推奨する治療に患者が同意するプロセス、あるいはエビデンスに基づく最善の選択肢がない場合に患者が自分の好む選択肢を選択するプロセスであると説明した。
結論:レジデントの意思決定は、文脈的要因、医学的知識、共有意思決定に関する知識、そして、患者がエビデンスに基づく最善の治療を受けられるようにするという医師としての職業的責任に関する信念や確信に影響されるようであった。彼らは、SDMを、医師の治療推奨に対するインフォームドコンセントを得ることと、エビデンスに基づくガイドラインの推奨がない場合に患者にどの治療を選ぶかを決定させることと混同しているのである。レジデントへの共有意思決定の指導は、スキルトレーニングだけでなく、コンサルテーションにおける意思決定プロセスにおける自分の役割に関するレジデントの認識や信念を対象とする必要がある。