医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The power of rotation schedules on the career selection decisions of medical students (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2023)

Bechara JP, Shah PP, Lindor K. The power of rotation schedules on the career selection decisions of medical students. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2023 May 2. Epub ahead of print.

背景:医学における進路選択は、医学生と医学分野全体の双方にとって、利害の一致する決定である。これまでの研究では、医学生の特性や専門分野がこの意思決定にどのように影響するかを検証してきたが、我々は、医学におけるキャリア選択の意思決定に影響を与える新たな変数として、時間的要素を導入する。具体的には、医学生がコントロールしにくいローテーションスケジュールに基づくレジデンシーの選択肢のタイミングと期間が、キャリア選択の意思決定にどのように影響するかを調査している。

方法と結果:5年間の医学生ローテーションスケジュール(N = 115)を調査したアーカイブ研究では、スケジュールの中でより早く、より頻繁に現れる臨床ローテーションオプションは、より選択されやすいことが明らかになった。さらに、臨床ローテーションを選択するタイミングと期間は相互に影響し合い、臨床ローテーションを選択するタイミングが遅いほど、また頻度が高いほど、選択される可能性が高くなった。学生固定効果で医学生の特質的差異(性別、負債など)を、レジデント固定効果でレジデントの特質的差異(収入、ライフスタイルなど)をコントロールした条件付きロジスティック回帰では、ローテーションスケジュールがレジデントの選択決定に大きな影響を与えることが、この決定に影響を与える一般的要因をコントロールしても判明した。

結論:医学生の進路決定は、ローテーションスケジュールにおいて異なる選択肢をいつ、どれくらいの期間表示するか、特にこのスケジュールに対する影響力が限られている場合に影響を受けることがわかった。この結果は、より多くのキャリアオプションに触れる機会を増やすことで、医師の労働力構成を調整する手段を明らかにすることで、医療政策に示唆を与えるものである。