医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

International medical graduates' social connections: A qualitative study (Med Educ 2024)

Al-Haddad M, Jamieson S, Germeni E. International medical graduates' social connections: A qualitative study. Med Educ. 2024 Sep 30. Epub ahead of print.

背景:受入国における社会的つながり (social connections)は、国際医学部卒業生 (IMGs)のウェルビーイング、異文化適応能力、職場でのパフォーマンスを向上させるが、学術文献や政策議論ではほとんど見過ごされてきた問題である。本研究の目的は、英国の状況を踏まえてこの現象を調査し、IMGsが形成する社会的つながりをより深く理解することである。

方法:スコットランドで実践しているIMGs and UK Medical Graduates (UKMGs)を対象に、参加を呼びかけた。これは、データ収集にオンライン半構造化インタビューを、分析に省察的テーマ分析を用いた質的研究である。

結果:41人の参加者が集められた(移民医師24人、英国医学部卒業生17人)。性別、人種、専門分野、等級、および主たる医学資格取得国について最大限の多様性を持たせて選定した。参加者のうち21人(58%)は英国の他の地域で勤務した経験があった。5つのテーマが特定された:(i)初期の孤立の克服 IMGは精神的ウェルビーイングを損なう初期の社会的孤立を克服しようと努力した。(ii )つながりが生まれる場所 IMGは主に職場や宗教コミュニティで社会的つながりを形成する。(iii) 隔離の種 一部のIMGは英国人の緊密な友人グループの外に置かれていると感じた。一部の IMG にとって、他の受入国の文化規範と同様にアルコールは社交の場では排他的な活動であった。排除された結果、IMG は他の IMG や他の「部外者」グループと社交の場を形成するようになった。 (iv) 差別の程度 一部の IMG は差別や人種差別を経験した。 差別は個人、構造、制度によるものであった。 (v) 「扉を開く」 参加者はIMG が社交の場を形成する能力を向上させるための組織、部署、個人レベルでの介入について説明した。

結論:本研究では、社会的なつながりを形成しようとする際に、IMGsが直面する課題が浮き彫りになった。特にIMGsとホスト国の住民との間の社会的なつながりが育まれるような環境づくりを推進することに、より重点を置く必要がある。