医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Safeguarding Fairness in Assessments - how teachers develop joint practices (Med Educ 2022)

Barman L, McGrath C, Josephsson S, Silén C, Bolander-Laksov K. Safeguarding Fairness in Assessments - how teachers develop joint practices. Med Educ. 2022 Mar 8. Epub ahead of print.

背景:本研究は、学生の成績評価の透明性を高めることを要求する改革に鑑み、教師がどのように評価実践を展開するかを深く考察するものである。評価に影響を与える要因については多くのことが知られており、学生の臨床能力に関する評価の妥当性と信頼性を向上させるためのさまざまな解決策が主張されている。しかし、教師がどのように評価実践を改善していくのかについては、ほとんど知られていない。本研究では、学生の臨床能力を評価するための共通の基準が開発され、実施された場合、教師の評価実践がどのように変化するかについて、実証的な知見を提供することを目的とする。

方法:人間のsense-makingに関するナラティブ理論を基礎としたナラティブ・イン・アクション・リサーチのアプローチを用いて、9名の医療専門職教員を含む1つのグループを1年間調査した。観察、インタビュー、公式文書、教師による考察文などのデータを用いて、学生の臨床能力を評価するための共同採点基準の開発と実施に関連する経験を教師がどのように意味づけているかを明らかにするためにナラティブ分析を実施した。

結果:共有された評価方法は何年もかけて開発され、教師たちの精査に対するアプローチの変化に基づくものであったことを示すナラティブが提示された。教師は、評価の公平性を確保するため、しかしより重要なこととして、患者に対する道徳的義務を果たすために、評定基準を用いることに強い動機を持つようになった。このナラティブはまた、標準化された評価基準を適用する際に生じるジレンマについて、これらの教師がどのように推論していたかを示すものである。

結論:ナラティブ分析は、教師による評価基準の作成と適用が、いかにローカルな実践に組み込まれているかを明確に示している。我々の発見は、学生のパフォーマンスに対する形成的・総括的評価で適用される基準をどのように解釈するかについて、教師が共同で議論することの重要性を強調するものである。特に、評価基準が明確であるかどうかに関わらず、「スキルの一部 (pieces of skills)」を評価することと、生徒のパフォーマンスを総合的に判断することについての教師の異なるアプローチは、認識されるべきである。これらの教師が歩んできた道のりを理解することは、プロフェッショナリズムと臨床能力の評価を開発する際に、教師がどのようにサポートできるのかについて新たな視点を与えてくれる。