医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The impact of teacher's presence on learning basic surgical tasks with virtual reality headset among medical students (Med Educ Online 2022)

Ojala S, Sirola J, Nykopp T, Kröger H, Nuutinen H. The impact of teacher's presence on learning basic surgical tasks with virtual reality headset among medical students. Med Educ Online. 2022;27:2050345.

背景:本研究の目的は、バーチャルリアリティVR)ヘッドセットを用いた基本的な外科手術の指導において、教師の存在が学習関連成果に影響を与えるかどうかを調査することである。

方法:26名の4年生医学生が自主的な演習に参加した。学生はOCULUS Rift Sグラスを装着したVRでVR4HEALTHCAREアプリケーションを使用して基本的な手術手技の演習を行った。12 名の学生は教師の指導のもとで演習を行い、14 名は教師の同席なしで演習を行った。演習後、各グループはフィードバックフォームに記入した。統計解析は、IBM SPSS Statistics 25.0ソフトウェアを用い、Mann-Whitney U検定および多変量分散分析により行った。

結果:収集された最も重要なデータは、学生が何か新しいことを学んだかどうか、VRが医学教育に価値を与えるかどうかに関連するものであった。評価は0~10(0=最悪、10=最高)のスケールで行われた。教師がいる場合、学生は新しいことを学んだと感じ、平均 7.8 ± 1.8の評価を与え、教師がいない場合は5.3 ± 2.6(p = 0.003)であった。VRは、教師がいる場合は7.8 ± 1.7、いない場合は 5.5 ± 3.0という評価を得て、教育の価値を高めていた(p = 0.045)。本研究では、膿瘍の切開、縫合、恥骨上カテーテルの挿入に対するVRの具体的な使用方法についても分析した。

結論:教師がいる場合、VRは教育に付加価値を与え、VRの有用性、使い勝手はよりポジティブに体験された。また、VRレーニングの前に、教える対象について十分な知識を持つことが必要である。VRは教育に価値を与えるが、VR演習は質の高い従来の教授法を完全に置き換えることはできないかもしれない。したがって、今後、VRと従来の教授法の違いを見極め、どのように組み合わせていくかが重要である。