医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Oncology residents' experiences of decision-making in a clinical learning environment: a phenomenological study (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2023)

Sanatani M, Muir F. Oncology residents' experiences of decision-making in a clinical learning environment: a phenomenological study. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2023 Apr 20. Epub ahead of print.

背景:腫瘍内科のレジデントは、指導医を観察し交流しながら、患者との倫理的に複雑な意思決定に関する議論を日常的に行っている。腫瘍学的意思決定指導の臨床能力を意図的かつ効果的に教えるには、適切な教育およびFDの取り組みを開発するために、この文脈でのレジデントの経験を理解する必要がある。

方法:2021年10月から11月にかけて、4人のジュニアと2人のシニアの腫瘍内科レジデントが半構造化面接に参加し、実世界の意思決定シナリオの経験を探った。解釈学的研究パラダイムにおいて、ヴァン・マネン (Van Manen)の実践の現象学が用いられた。トランスクリプトは、本質的な経験的テーマを明確にするために分析され、複合的なボキャブラリーが作成された。

結果:3つの本質的なテーマが特定された: (1)レジデントはしばしば監督コンサルタントと異なる意思決定アプローチを支持する、(2)レジデントは内的葛藤を経験する、(3)レジデントは意思決定への自分自身のアプローチを見つけるのに苦闘する。レジデントは、コンサルタントの指示に従わなければならないという義務感と、コンサルタントと意見を交わす権限がないと感じながらも、意思決定の主体性を高めたいという願望の間で葛藤した経験がある。レジデントは、臨床教育の場での意思決定における倫理的立場の認識に関する経験を困難なものとし、倫理的葛藤や意思決定の所有権に関する未解決の問題を指導医と解決するための不十分な心理的安全性と結びついた道徳的苦痛を示唆する経験をしていることが示された。

結論:これらの結果は、腫瘍学の意思決定におけるレジデントの苦痛を軽減するために、対話の強化やさらなる研究の必要性を示唆している。今後の研究は、段階的自律性、階層的勾配、倫理的立場、医師の価値観、責任の共有など、臨床学習におけるユニークな状況において、レジデントとコンサルタントが対話できる新しい方法を発見することを目指すべきである。